鹿児島県警「隠ぺい」疑惑の警官盗撮事件…実況見分日を誤記、会見で誤って発表 指摘受け報道各社へ訂正

〈資料写真〉鹿児島県警本部庁舎

 鹿児島県警が枕崎署員の盗撮容疑事件などの経緯を説明した6月21日の記者会見で、同事件の実況見分の実施日について事実と異なる発表をしていたことが1日、南日本新聞の取材で分かった。本紙の指摘を受けた県警は同日、「実況見分調書の記載に誤りがあった」と認め、報道各社に発表訂正した。同事件は「野川明輝本部長の隠蔽(いんぺい)指示疑い」が取り沙汰されており、捜査書類や会見内容の正確性が問われる事態となりそうだ。

 事件を巡っては、枕崎署の巡査部長=依願退職=がトイレに侵入して女性を盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの罪で起訴された。実況見分調書は鹿児島地検に送られており、裁判で証拠の一つとなる可能性がある。

 県警は6月の記者会見で「1月17日、被害届(盗撮)作成」「同23日、盗撮被害者立ち会いの下、現場実況見分実施」と経緯をまとめた資料を報道陣に配った。県警によると、署が作成した実況見分調書には1月23日実施と記されていたが、実際には1月17日に全て終えていた。誤記の理由は分かっていない。

 県警によると、調書を基に記者会見した。本紙の指摘後、調書に付けた写真撮影データを確認するなどして誤りに気付いた。枕崎署には経緯が分かる報告書の作成を求めたとしている。県警監察課は「原因を調査の上、必要な指導を行っていく」とコメントした。

 同事件の対応を巡っては、2023年12月22日に野川本部長が報告を受けた当初から、署員の関与が疑われていたにもかかわらず、本部長指揮とはせず、署で捜査を続けさせる指示があったことが判明。この指示を前首席監察官が前署長に伝達した際、「捜査は中止」という誤解が生じ、捜査が2日ほど止まった事実も明らかになっている。

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