【アナザーショット!】歓喜と願いの色に染まる「ピンクフルデー」

試合前に打撃練習する川村。選手のヘルメットにはピンクリボンのマークがあしらわれていた(撮影・穴井友梨)

「球場を染める」という言葉が、これぼどしっくりきたことがあっただろうか。

「ピンクフルデー」と銘打ちさまざまな催しが展開された、5月17~19日の西武戦。ファンのユニホームやジェット風船、試合後の花火まで、どこを撮ってもピンク色。シャッターを押すたびに気持ちが盛り上がった。

当初は女性ファンをターゲットにしたイベントだったが、昨年から名称変更。非日常や楽しさを味わってほしいとの狙いに加え、乳がんの早期発見・治療を啓発する「ピンクリボン運動」推進の側面もある。

期間中、選手のヘルメットやベース、ネクストバッターズサークルなどにピンクリボンがあしらわれ、17日には運動に尽力する鳥越裕介氏のトークショーもあった。試合中もマークが目に入るたびに、検診を呼びかける鳥越氏の真剣な表情が思い起こされた。

2008年に妻を乳がんで亡くした鳥越氏。多くの人に周知して、悲しい思いをする人が1人でも減ってほしい。そんな思いが審判の服、広告、ベンチの電話にいたるまで、あらゆるピンク色のグッズに形を変え、球場に満ちていた。

期間中、チームはサヨナラ勝ちを含め3連勝。楽しさや歓喜はもちろん、このピンクリボン運動の意義やがん撲滅の願いも、ともに球場へ広がった3日間だったに違いない。(穴井友梨)

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