青森県の平均路線価下げ止まる 2010年以降で変動率初の横ばい 東北他県はプラス

 仙台国税局は1日、相続税や贈与税の税額を算定する基準となる2024年の路線価を公表した。青森県の標準宅地(住宅地、商業地、工業地など含む)の平均変動率は対前年比0.0%で、23年の0.3%マイナスから上昇し、現在の算定方法を導入した10年以降で初めて下げ止まった。不動産鑑定士は、市部での住宅需要の堅調さや、新型コロナ禍以降商業地の価格動向が持ち直しつつあることなどが要因とみている。

 路線価は、1月1日時点の主要道路に面した土地の価格。国土交通省が毎年3月に発表する地価公示価格の80%程度の水準としている。24年は、県内2979地点の標準宅地を調査した。

 青森県の平均変動率の推移を見ると、10~23年まで14年連続して対前年比マイナスで、東北6県で唯一下落が続いていた。24年の変動率0.0%は47都道府県中、高い方から数えて30位。ほかの東北5県は、いずれも変動率がプラスだった。全国の変動率はプラス2.3%となり、3年連続で上昇した。仙台国税局は、価格の変動要因に言及していない。

 地価公示の代表幹事を務める不動産鑑定士の久保田聡氏(青森市)は取材に対し「住宅地は、生活利便性の良い市部のエリアで需要が高まり、地価上昇率が高めに出ている。半面、市部でも市街地から離れている地域や町村部は、下落が続いている」と価格の変動要因を分析。今後の見通しについて「建築費の高騰を背景に、相場の安い土地や少し狭い区画を選ぶなど、購入する土地の価格を抑えようとする動きが出る可能性もある。住宅地は、当面横ばいに近い傾向が続くのではないか」と話した。

 商業地の動向に関して久保田氏は「市部で活発な再開発の動きや、インバウンド(訪日客)の客足の伸びなど、これまでに比べると上昇に働く要素が多くなっている」と語った。

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