中国の科学研究力が急向上 英「エコノミスト」

中国の科学研究力が急向上 英「エコノミスト」

海南省の三亜崖州湾科技城にある海南省種子業実験で分子育種実験を行う研究者。(2023年12月29日撮影、海口=新華社記者/張麗蕓)

 【新華社ロンドン7月2日】英経済誌「エコノミスト」はこのほど、中国の科学研究力が急速に向上し、多くの分野で世界を先行しているとの記事を掲載した一方で、まだ弱い分野もあると指摘した。

 記事は、影響力の大きな論文、つまり高被引用論文から動向がわかると紹介。米国の高被引用論文数は2013年、中国の約4倍だったが、22年以降、中国に抜かれている。世界の科学研究機関を格付けする「ネイチャー・インデックス」の23年版でも、中国人著者が有力学術誌で発表した論文数が1位となった。「ネイチャー・インデックス」は学術出版世界大手、シュプリンガー・ネイチャーの傘下機関が作成し、定期的に発表している。有力学術誌に掲載された研究論文を追跡し、研究機関や国・地域が発表した論文の数やシェアなどに基づき、世界の質の高い科学研究の成果や協力状況を反映している。

 オランダ・ライデン大学の研究機関CWTSが発表する、科学研究成果に重点を置いた世界大学ランキング「ライデンランキング」では、中国の六つの大学・機関が世界トップ10に名を連ねた。「ネイチャー・インデックス」の世界科学研究機関ランキングでも、中国の七つの大学・研究機関がトップ10入りしている。

 記事は、米国と欧州が一般生物学と医学分野で大きくリードしている一方、中国は物理学、化学、地球・環境科学分野が世界トップレベルまで躍進し、応用研究が強みであるとした。

 また、中国が資金、設備、人材から科学研究力を向上させており、先端研究の成長ペースに鈍化の兆しはないものの、いくつかの弱点があると指摘。例として、非一流大学の科学研究成果は質の向上が必要である点、基礎研究では西側諸国との間に距離がある点、企業内の基礎研究が乏しい点などを挙げた。

 そのほか記事は、中国と西側の科学者の大多数が協力の継続は必須で、さらなる拡大が理想であるとの見解を示していると紹介。西側の研究室に立ち入る中国人研究者を締め出す動きは、西側の科学にとって危険なことであると警告した。

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