中国中部地域、シールドマシン産業は盛んに発展

中国中部地域、シールドマシン産業は盛んに発展

中国鉄建重工集団長沙第1産業パークで完成した超大口径シールドマシン「定海号」。(1月10日撮影、長沙=新華社記者/陳思汗)

 【新華社北京7月2日】中国の中部地域は製造業の種類がそろっており、中国の重要な現代設備製造・ハイテク産業拠点となっている。建設機械大手の中国鉄建重工集団、鉄道建設大手の中国中鉄傘下でトンネル掘削機などを手掛ける中鉄工程装備集団などをはじめとするシールドマシン(掘削機)メーカーはここ数年、拠点を中部地域に置くことによる強みを十分に発揮し、シールドマシンの国産化を実現し、さらなる進歩に取り組んでいる。

 地下空間の開発は大きな潜在力があるものの、複雑で変化に富む地質環境などのハードルも存在する。シールドマシンの「心臓」と呼ばれるメインベアリングには地下の劣悪な作業環境による試練が課され、高い信頼性や長寿命といった重要な性能要件を満たす必要がある。鉄建重工の劉飛香(りゅう・ひこう)首席科学者によると、「これはシールドマシンの全産業チェーンの自主化を実現するための『最後の部分』になっている」という。

中国中部地域、シールドマシン産業は盛んに発展

湖南省長沙市鉄建重工生産基地で展示されたシールドマシン用メインベアリング。(5月27日撮影、長沙=新華社記者/白田田)

 この重要な部分で技術的ブレークスルーを実現するため、鉄建重工は川上・川下企業や大学と協力して直径と荷重が大きいメインベアリングに特化した計算ソフトを開発し、約100種類の材料と製造技術を試している。2023年10月12日には湖南省長沙市で、同社が自主開発した直径8.61メートルのシールドマシン用メインベアリングがラインオフし、国産超大径メインベアリングの開発および産業化の能力が世界トップクラスに躍進したことが示された。

 シールドマシンが地下で前進し続けるように、中部地域のシールドマシンメーカーは技術革新と開発を強化し続けており、これが中部地域のシールドマシン産業台頭の大きな原因の一つとなっている。

 中鉄工程装備集団の掘削機研究院の寧向可(ねい・こうか)副チーフエンジニアは「以前はなかったものがあるようになった。これが製造から創造への移行で起こる最も大きな変化だ」と指摘。同社はウォータージェットやレーザー、極めて複雑な地質条件での掘進などの課題をめぐり、複数の研究開発チームを組み、急ピッチで研究開発を進めていると明かした。

 統計によると、同社がさまざまな地質条件に応じて開発した掘削機は設立から累計で1500台(セット)を超え、一連の革新的な製品が業界記録を更新し続けている。

中国中部地域、シールドマシン産業は盛んに発展

河南省鄭州市にある中国中鉄の工場で働く作業員。(3月15日撮影、鄭州=新華社記者/李嘉南)

 シールドマシンメーカーは各分野の技術の高度化、設備と製造技術のアップデートを通じて技術の空白地帯に相次いで進出し、シールドマシン分野で「中部地域での創造」を次々に生み出し、産業の発展に尽きることのない新たな原動力をもたらしている。

 長沙市にある鉄建重工の基礎・先端技術研究設計院では、シールドマシンのデジタルツインシステムが注目を集めている。

 同社デジタルツイン研究所の王永勝(おう・えいしょう)副所長は「このシステムはシールドマシン部品の運行データ、地下環境データなどの施工データをリアルタイムに整理できる。システムによる分析を経て、オンラインで技術者のマシン操作の意思決定を助けるとともに、次世代製品の改善と高度化をビッグデータで支援する」と説明した。 

 同社の地下工事用設備のデジタルツインシステムはすでにシールドマシン、炭鉱設備などへ分野を広げ、国内外の鉄道、道路、鉱山、水利など大型工事の建設に幅広く利用されている。

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