トヨタ自動車 安達龍一が地元凱旋V。ブロックの名手からの学びと次なる誓い「4年後は五輪に」

ビーチバレーボールの国内大会「ワールドマスターズゲームズ2027関西開催記念 ジャパンツアー2024サテライト南あわじ大会」が6月29日〜30日に慶野松原海水浴場ビーチバレーコート(兵庫)で開催され、男子は長谷川徳海(ハウスコム)/安達龍一(トヨタ自動車)が優勝。兵庫県南あわじ市出身の安達は故郷へ錦を飾った。

安達龍一(あだち・りゅういち/2000年8月7日生まれ/身長198㎝/洲本高〔兵庫〕→慶應義塾大→トヨタ自動車ビーチバレーボール部/インドア時代はアウトサイドヒッター)

洲本高時代からビーチバレーボールに励む安達

今大会の舞台である慶野松原海水浴場でプレーするのは高校3年生時以来、実に6年ぶりのこと。安達は「懐かしい」と感動する一方で、砂の感触に違いを覚えた。

「高校生の時はめちゃくちゃ滑るな、と感じて、とてもやりづらかったんです。でも今は、いろいろな経験をしてきた分、すぐ慣れることができたといいますか。適応できるようになったと実感しました」

その会場では母校である洲本高の男女バレーボール部員が運営の手伝いに励んでおり、安達は「来ているのを知らされてなかったんです。自分と学年は被っていないですが、それでも応援してくれるのは温かいなと感じました」と感無量。地元での、そして後輩たちなどゆかりある人たちの前での優勝の喜びはひとしおだった。

プレーするコートのエンドラインには母校の後輩たちの姿も

ベテランの長谷川徳海とスポットでペアを組んだ今大会

身長198㎝のビーチバレーボール選手として活動する安達は、慶應義塾大を卒業後に強豪・トヨタ自動車に入部し、今年で2年目。現在進行形のキャリアにおいて成長の真っ只中にある。ふだんは同じチームのマルキ ナシムとペアを組んでいるが、マルキが別大会に出場するため、今大会にかぎり変更することに。そこで声をかけられた長谷川と初のペアが実現した。

「昨日(大会の前日)、初めて合わせました。大会に入って、最初は自分がばたばたしてしまったのですが、長谷川さんがカバーしてくれました。それにどんなプレーをしても盛り上げてくれるんです。年齢が上の選手と組むとどうしても緊張する部分があるのですが、ほんとうにやりやすかったです」

試合中では得点が入るたびに「今の狙い、よかったよ!!」「ナイスサポート!!」という長谷川の声が響く。またブレイクに成功した直後、サーブを打つ安達へ長谷川が「(自分は)ブロックに集中するから」と信頼感を言葉に乗せるシーンも。

「自分はサーブとレシーブに専念できましたね。長谷川さんがしっかりとブロックに跳んでくれる分、相手の攻撃に対してワンタッチがとれたり、相手のミスも誘える。タッチで浮いたボールは絶対に拾うんだ、と胸に留めていました」

大ベテランの長谷川(右)とムードを高めながら最後まで勝ち上がった

4年後のロサンゼルスオリンピックへ、武器を磨き続ける

今回、ペアを組んだ長谷川はビーチバレーボール歴20年近くのベテラン。現在行われているジャパンツアーにおいては第2戦都城大会で優勝、第3戦グランドスラム グランフロント大阪大会で第3位の好成績を収めている、日本を代表するトップ選手の一人。安達はかけられる言葉だけでなく、そのパフォーマンスを身近に触れながら刺激を受けていた。

「長谷川さんは相手を見て、いろいろとバリエーションを変えながらブロックに跳んでいるんです。そこはまだまだ盗みきれていません(笑) 自分は身についていないので、一緒に試合をするなかで学びたい部分でしたね」

安達自身は強化指定選手として今年度上期(9月30日まで)の男子日本代表に登録されている。今年のパリオリンピックで男子日本代表は出場権を得ることができなかったため、その視線は4年後のロサンゼルス大会へと向けられる。安達は言葉に力を込めた。

「自分の武器は高さだと思うので、ブロックをもっともっと磨いていきたい。4年後にブロッカーとして戦えるようになりたいです」

優勝という喜びはもちろんこと。地元で過ごしたこの週末は、自らの強みをさらに伸ばすための学びを得る何よりの機会となった。

ブロックに磨きをかけ続ける

(文・写真/坂口功将)

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