英選挙戦、各政党は気候変動問題を争点化せず

Jack Graham

[ロンドン 1日 トムソン・ロイター財団] - 投票日が4日に迫った英国の下院総選挙は、移民問題や医療サービス、与党・保守党の候補者らが総選挙の投開票日程を予想する賭けをしていた疑惑などが選挙戦の主な争点となっており、気候変動問題はほとんど取り上げられていないことが分かった。コンサルタント会社AKASの調査データをトムソン・ロイター財団が入手した。

AKASがメディア関連大規模データベースのGDELTを使って分析したところ、6月30日までの選挙戦で英国内メディアが報じた総選挙関連記事のうち「気候」という単語が使われたのは全体の8%にとどまり、前回2019年の17%から低下した。また今回「気候変動」という用語が使われた記事の割合は2%で、19年の10%から大幅に低下した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグランサム気候変動環境研究所の政策・コミュニケーション担当ディレクター、ボブ・ウォード氏は「主要政党はいずれも特に確固たる主張を持っているとは感じていないため、気候問題に触れたくないのだと思う」と述べた。

保守党と野党・労働党は他の課題を選挙戦の焦点に据えている。保守党のスナク首相は昨年、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」政策を後退させており、労働党も景気低迷を理由に環境に配慮するグリーン投資計画を縮小した。

ウォード氏は「4日の投票でどの政党が政権を握ろうと、気候変動への対応を大幅に強化する必要がある。今は非常に重要な時期にあり、(気候変動問題を)政府の重要課題に据えないというのは考えられない」と話した。

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