日銀の国債買い入れ、減額1年目4.65兆円・2年目3.55兆円=金融機関サーベイ

Noriyuki Hirata Takahiko Wada Makiko Yamazaki

[東京 2日 ロイター] - 日銀による国債買い入れの減額幅を巡り、ロイターが主要金融機関を対象にアンケート調査を実施したところ、1年目に平均で16.1兆円、2年目に29.3兆円の減額を予想していることが明らかになった。月数で割ると買い入れ月額は現在の約6兆円から、1年目は4.65兆円、2年目は3.55兆円に減る計算になる。

2年後時点の月間買い入れ額予想は4兆円が6社でもっとも多く、2兆円と3兆円が4社ずつで続いた。最小は1.5兆円、最大は5兆円でそれぞれ1社。買い入れ額が2年でゼロに到達するとの予想はなかった。

減額の開始時期は今年8月からとの予想が大勢を占めたが、7月に利上げする場合、減額開始は10─12月期からとの予想もあった。一方、減額の終了時期については4社が2年を待たずに終了と予想、逆に状況次第で2年後以降も減額を続ける可能性があると想定した金融機関も3社あった。

具体的には「2年後に月額2兆円程度の国債買い入れ(異次元緩和導入前の買い入れ水準)まで減額し、その後同金額を維持」とする見方がある一方、2年で3兆─4兆円に減額していったん終了するが「状況に応じて減額を延長」との予想があった。ゼロに到達するまで継続する可能性があるとの見方もある。

1年で減額が終了するとみている2社のうち1社は1年目に5兆円に減らして打ち止めとみる。一方、もう1社は、今年8月に3兆円に減らし、来年8月にさらに1.5兆円に減額するといったハイペースの減額を予想している。

毎月の購入額を減額するペースは「四半期ごと」が8社で最多となった。このうち、当初1兆円など多めに減額したうえで、3500─3750億円を四半期ごとに減らすとの見方が2社あった。「1-2年程度かけて段階的」といった大枠の想定が3社あったほか、決定後に月5兆円程度へと減らし、半年後に4兆円程度、2年目は1年間で3兆円程度へと減らしていくとして、半期ごとの減額後に、随時減額へと移行するとの予想もあった。

金融機関の業態別では、1年目の月当たり購入額がもっとも小さいのは銀行で4.39兆円。多いのは保険の4.91兆円だった。2年目の購入額最小はアセットマネジメントの2.91兆円で、最大は証券の3.82兆円だった。

日銀は6月会合で国債買い入れを減額する方針を決定。今月9―10日の債券市場参加者会合で銀行、証券会社、バイサイドの3グループに分けて各金融機関の実務担当者から意見を聞くことにしている。次回7月の決定会合で今後1―2年程度の具体的な減額計画を決めるが、植田和男総裁は減額が「相応の規模になる」と重ねて強調している。

6月25日から28日にかけてアンケート調査を実施(一部回答遅延含む)し、19社から回答を得て平均を算出した。回答がレンジの場合は中央値を採用した。

(回答した19の金融機関、五十音順)

アセットマネジメントOne

SMBC日興証券

SBI証券

SBI新生銀行

岡三証券

かんぽ生命保険

しずおかフィナンシャルグループ

シティグループ証券

住友生命保険

第一生命保険

大和アセットマネジメント

大和証券グループ本社

日本生命保険

農林中央金庫

野村証券

みずほ証券

三菱UFJアセットマネジメント

三菱UFJフィナンシャルグループ

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

◎1年目と2年目の買い入れ減少額集計

1年目 2年目

減少額平均 16.15 29.36

減少額(月当たり) 1.34 2.44

購入額(月当たり) 4.65 3.55

◎2年後の月間買い入れ額(減額幅予想から算出)

1.5兆 1

2兆 4

3兆 4

4兆 6

5兆円 1

明示せず 3

◎減額ペース

毎月 2

四半期ごと 8

半期ごと 2

1年ごと 3

随時 3

半期ごとの後、随時に移行 1

◎減額の開始時期

7月 1

8月 17

10月 1

◎減額の終了時期

1年後 2

1.5年後 2

2年後 9

2年以降も継続 3

その他 3

◎業態別予想(1月当たり購入額、兆円)

1年目 2年目

銀行 4.39 3.27

証券 4.68 3.82

保険 4.91 3.76

AM 4.55 2.91

注)AMはアセットマネジメント

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