40歳の専業主婦。子どもが「大学」を卒業するまで、15年ほど「年収200万円」の仕事をする予定です。将来の年金額はどのくらい増えますか? 手取りは減ってしまうでしょうか…?

老齢厚生年金を増やすことができる

会社に勤めた場合に将来の年金を増やすことができるのは老齢厚生年金です。公的年金は20歳から60歳まで保険料をすべて支払うことで満額受け取れる「老齢基礎年金」と、会社員や公務員の人が厚生年金保険料を支払うことで受け取れる「老齢厚生年金」の2種類があります。

老齢厚生年金は、次の要件を満たすと、老齢基礎年金に上乗せされて受け取れます。

__・老齢基礎年金の受給資格者であること

・厚生年金の加入期間があること__

ずっと専業主婦(夫)の場合は老齢基礎年金のみしか受け取れませんが、厚生年金に加入している会社で働き厚生年金の加入期間があれば老齢厚生年金を受け取ることが可能です。

老齢厚生年金は約16万円増額される

老齢厚生年金の年金額は、報酬比例部分、加給年金、経過的加算といった3つに大きく分けられます。その中でも年金額の基礎となるのが報酬比例部分です。そこで本記事では、報酬比例部分のみを計算していきます。

報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481÷1000×2003年4月以降の厚生年金の加入期間(加入期間が2003年以降の場合)」で計算可能です。平均標準報酬額は標準報酬月額と標準賞与額の平均を2003年以降の加入期間で割った金額となっています。

これを本事例にあてはめると、16万6666円×5.481÷1000×180ヶ月=16万4429円です。年間で約16万円年金を増やすことができます。月額にすると1万3702円の増額です。

少なく感じるかもしれませんが、65歳から80歳まで増額分の年金を受け取ったと考えると、246万6435円も多く年金を受け取れます。増額した年金額は基本的に一生涯受け取れるので、長生きすればするほど多くの年金を受け取ることが可能です。

80歳以降も長生きすればさらに多くの年金を受け取ることもできるので、老齢厚生年金も受給できるのは大きなメリットとなります。

このように老齢厚生年金は厚生年金保険に加入した期間の収入によって決まるので、収入が多くなると年金額も多くなります。例えば、年収300万円で15年働いた場合は年額24万6645円です。年収200万円の場合と比較すると、年間で8万2216円多く年金を受け取れます。

厚生年金保険料を支払うことになるので負担は大きくなる

専業主婦(夫)や自営業の人は基本的に老齢基礎年金のみを受け取りますが、事例のように厚生年金保険に加入している会社で働くことで老齢厚生年金を上乗せすることが可能です。

年金額を増やすことができるので、将来の年金額が不安な場合は厚生年金保険に加入している会社で働くことも選択肢の1つです。増額した年金額は基本的に一生涯受け取ることができるので、長生きすればするほど多くの年金を受け取ることができます。

もっとも、厚生年金保険料を支払う必要があるので、場合によっては働いている期間の手取りは少なくなります。保険料を支払う分、負担が大きくなることを覚えておきましょう。

出典

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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