夫の給料が手取り30万円から「33万円」に10%上がったのに貯蓄が全く増えません。無駄遣いをしているわけではないのですが…

消費者物価指数から見る昨今の物価高

金融広報中央委員会の「知るぽると」によると、消費者物価指数とは「消費者が日常的に購入する財・サービスの価格がどれくらい変動したかを示す指標」のことです。

例えばある年の平均的な家計消費を100として、同年を基準として物価の変化によりどれだけ家計費に変化が生じるかを知ることができます。消費者物価指数が上がると、消費支出が増加し、収入が増えなければ生活は苦しくなることが考えられます。

昨今の物価高は、消費者物価指数を見ることで分かるでしょう。総務省統計局の「2020年基準消費者物価指数」によると、総合指数は2020年を100として、2024年4月分は107.7であるとのことです。前年同月から2.5%、前月からは0.2%上昇しています。

消費者物価指数が上がった項目には以下のようなものがあります。

__・家具・家事用品:117\.0

・食料:116.4

・教養娯楽:112.9

・光熱・水道:108.8

・被服および履物:108.7__

前年同月比で見ると、生鮮野菜が13.5%増加していて、中でもキャベツは39.4%の増加となっているのです。生鮮果物は14.5%の増加で、その中にはりんご(37.6%)などがあります。日常の買い物で、食料品が高くなっていることに気付いている方は多いでしょう。

円相場から見る昨今の物価高

円安が物価の上昇に与える影響も無視できません。日本は食料品の原材料や原油などのエネルギーの多くを輸入に頼っているため、円安になると割高になって輸入には不利になります。

原材料やエネルギーの価格が上昇することで製造コストが増えてしまい、商品の価格は高くなります。食料品や日用品は生活に不可欠なもので、これらの値段が上がると家計に大きな負担がかかるでしょう。

日本銀行によると、2022年中は1ドル115.34円から始まり高値は150.48円を記録、年末には132.14円で終わっています。2023年中は131.30円で始まり、高値は151.74円を記録し、年末は141.40円です。2024年6月19日時点では、1ドル157.84円で、円安が続いていることが分かります。

円安が止まらない昨今、さまざまな物の値段が上がっていて、家計に負担がかかっている状況が続いています。

物価上昇が続く中……貯蓄を増やすための対策

無駄遣いをしているわけではないのに貯蓄が増えないことで悩んでいる方もいるでしょう。例えば給料が手取り30万円から33万円のように10%上がったとしても、物価高により帳消しになっている可能性があります。そこで、物価高の中でも貯蓄を増やすために以下のような対策が必要です。

・節約

貯蓄にお金を回すために、節約に取り組みましょう。給料が10%増えたから自由に使えるお金も増えて、ぜいたくができると考えてしまうかもしれません。しかし物価高によって帳消しになっている可能性があるため、財布のひもを緩めないようにしましょう。

節約を始める際は、現在の支出状況を把握して見直すことが大切です。食料・衣類・娯楽などの変動費は「セールだったから」「安かったから」といった理由で買うのではなく、本当に必要なものを見極めるようにすると、無駄遣いを減らせるでしょう。住居・水道光熱・スマホなどの固定費も、契約を見直すことで大きな節約につながる場合があります。

・資産運用

物価が上昇する状態が続くインフレーション(インフレ)では、お金の価値は実質的に目減りしてしまいます。極端に考えると、10年後に物価が2倍になった場合、現在貯金している100万円は50万円の価値に下がることになります。そのため、預金だけではなくインフレに強い資産を持つことも検討しましょう。

インフレに強い資産には「金や不動産投資」「株式投資」「外貨預金」などがあります。1つに絞るとリスクが高くなるため、インフレに強い資産を分散して持つとよいでしょう。

給料が上がっても貯蓄が増えないのは物価高のせいかも……焦らずに対策を考えよう

消費者物価指数の上昇や円安が続く昨今、多くの家庭は物価高に悩まされているといえるでしょう。

今回の事例のように、夫の給料が手取り30万円から33万円と10%上がって、自由に使えるお金が3万円プラスになったはずなのに貯蓄がなかなか増えない場合、原因は昨今の物価高にあることが考えられます。食料品や日用品の値段が上昇していて、普段通りの生活をしているだけで家計に負担がかかっているのかもしれません。

無駄遣いをしているわけではないのに貯蓄が増えない場合は、焦らずに対策を考えることが大切です。まずは支出状況を把握して、節約できる項目はないか見直してみましょう。物価高で現金の価値は下がっていくことが考えられるため、インフレに強い資産を持つことも検討してみましょう。

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 消費者物価指数(Consumer Price Indexes)とは
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat) 消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 結果の概要(全国)2024年4月
日本銀行 統計 外国為替市況(日次) 参考計数(東京外為市場における取引状況)2022年中、2023年中、外国為替市況2024年6月19日(水)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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