「ホークス一人勝ち」って本当? 九州、福岡のスポーツビジネスの可能性と課題を考える。第2期OTTO!学生スポーツゼミ始動

グループワークで話し合った内容を発表するゼミ生

西スポWEB OTTO!(おっと)が主宰する第2期「学生スポーツゼミ」が28日、西日本新聞社(福岡市)で始動した。昨年度の第1期生を含む大学生や専門学生25人が、「九州、福岡のスポーツビジネスの可能性と課題」についてアイデアを出し合った。

「若い視点から九州のスポーツを盛り上げることを目指している。皆さんのアイデアと情熱をスポーツ界に発信しましょう」。冒頭、昨年に引き続きゼミ長を務める市川圭之介・日本経済大学准教授が呼びかけた。

OTTO!編集部からは池田郷編集長が、昨春からスポーツ紙を休刊してデジタルに特化したメディアとして再出発した狙いを説明。ホークス戦の試合中に次々にファンが求める情報を発信するなどして、記事の閲覧数を示すページビュー(PV)が右肩上がりで増えている現状を語った。

メンバーは自己紹介の後、グループワークに進んだ。福岡ソフトバンクホークスで16年間ブランド戦略やプロモーションに携わった市川さんは、次のテーマを示し各グループで話し合うよう投げかけた

「九州、福岡の地域が持つスポーツビジネスに対して優位性と課題とは?」

次のページ 「アジアの玄関口」だが「競技や地域間の格差も」

ゼミ生はグループに分かれて話し合い、各グループが発表した。

【Aグループ】

福岡はアジアの玄関口で、都市としての知名度が高い。新幹線や空港など交通の利便性も高く、スポーツ観戦と観光が成り立っている。

一方で課題は、福岡は都会のため田舎に比べて(地元のスポーツなどに関して)関心が高いと言えない部分もあるようだ。

【Bグループ】

サッカーJ1のアビスパ福岡の立場でみると、街でポスターなどの掲示物は目に付くが、福岡県内ではホークスのイメージが強く、その他のスポーツチームが目立ちにくい。

【Cグループ】

九州のプロ野球チームはホークス一つだけ。「ファイト九州!」の合い言葉で売り出せる。その半面、公共交通機関が発達していない地方もあり、観戦に行きにくい地域も。アリーナなどスポーツ関連施設の整備状況も地域格差がある。

【Dグループ】

ホークスに関しては、福岡とその他の地域ではメディアなどを通じての情報が伝わりにくい側面があり、熱量に温度差がある。九州にライバルチームがないので人気は独占できるが、アビスパとサガン鳥栖の「九州ダービー」が盛り上がるように、ライバルがいた方が良い面もある。

良くも悪くも「ホークス一人勝ち」の印象を持つ学生が多い様子だが…。

次のページ 「ホークス」ブランドの真のライバルとは

学生に対して市川さんはホークスが日本球界で最も売上げを上げている球団だと説明。「野球観戦をする人は、他のスポーツもよく観戦している」との傾向を紹介し、最強ブランドのホークスが必ずしもアビスパや他競技の〝脅威〟ではないと指摘した。

「ホークスのファンは野球チーム(としてのホークス)ではなく、ホークス(というブランド)を好きでいてくれる」

「ホークスにとってのライバルは、映画館やショッピングモールだったりすることも頭に置いてほしい」

ホークスのブランド確立に向き合ってきた市川ならではの示唆に富んだ言葉は、次回以降のゼミで深掘りするホークスブランドの成り立ちや裾野の広さを理解していく上で、重要なヒントになりそうだ。

次のページ<ゼミ生の感想一覧>

第1回のスポーツゼミの終了後、ゼミ生に感想を寄せてもらった。

タケ

西スポが紙ではなく、ネットの記事に舵を切っているということが面白かった。私は文系の学部だから、新しい技術にどうやって適応していくかという話がとても響いた。また、ホークスのライバルが球団ではなく、映画館などの他の娯楽という話は面白かった。

なおと】

漠然と感じていた、九州や福岡のスポーツに関する優位性などを、様々な角度から考えてたり意見交換をしたりしたことで、今後のビジョンがより明確になったと思う。

まさき

九州内にはホークスしかないため、スポーツチームとの競合はない。しかし、ホークスはスポーツチームだけでなく、映画やゲームセンターなどのアミューズメントパークなどのスポーツチーム以外も競合になるということを学ぶ ことが出来ました。

さきの

昨年の OTTO(学生ゼミ) と比べ、課題の難しさを感じた。グループワークでは九州の地域が持つ優位性と課題について話 し合ったが、やはりホークス中心になることが優位性にも課題にもなりうるということだった。今後のゼミで、課題ではなく、優位性の部分が強くなるような案を考えたい。

ハルク

otto!について改めて詳しくお話を聞かせていただくことが出来ました。これまでも X や Web で見させて頂いてい ましたが、これからは見る人たちの時間帯ごとの興奮ゾーンを狙うなどのどのような狙いがその記事にはあるの かなどに注目して、新しい目線で見てみようと思いました。 また、ホークスがある事で九州にどのようなメリットデメリットがあるかも、次回までに自分で考えてこようと思いま した。

D.B.川内

今回は初回ということもあり少し緊張感もあったのですが自己紹介などでもみんなのことを知ることができ緊張が 解けました。このゼミ初めてのグループワークでしたがグループメンバーの真剣さなども伝わりこれからもっと思 考を巡らせて取り組んでいきたいと思いました。

りか

今日、初めてゼミに参加してどんな講義なのかワクワクしていたが、とても興味深い講義でした。様々な問題を 解決するためにはマーケティングなど戦略があることを学んだ。また、グループワークなどをして、他の人はこんなことを考えていたのかと様々な考えを知ることができてとても刺激を受けました。

わかな

スポーツ記事を 1 つ作るにも、多くの労力がかかっており、電子なのか紙なのかによっても全く異なっていること を学びました。そして、見る視点によって優位性にも課題にも取れる点が面白いと思いました。

みお

私は紙の新聞を興味のある記事が一面に載っていると、買って読んでいるので、西日本スポーツが全て WEB にな っていることに驚きました。また、試合が始まってから、終わってから少しの間の PV が多い時間帯に記事を出していることが、すごく効率的で紙よりも WEBにしたことの大きな意味だなと感じました。そして、グループワーク では、自分の班以外でこんなにも意見が違うんだと感じましたし、ホークス一強になっているのが、いいのかどうかを今後も意識して考えてみたいなと思いました。

リコ

去年のメンバーとも久しぶりに会えて嬉しかったです。 西日本新聞社がデジタル版の 西スポWEB OTTO!に挑戦し、徐々に PV 数をあげていることが 1 番印象的でした。 また、グループワークについては他のグループも発表も聞いて、その考えもあるなと感心することばかりでした。 これからのゼミも楽しみです。

さと

いつも当たり前に見ていた情報や読んでいた情報は、裏で色々なデータをとって、いろんな方に読んでもらえる ように研究をして、届いたいた情報ということに今回、気づくことができました。 また、短時間ではありましたが、グループワークで意見を伝え合うことで、違った意見を持っていてそれについてまた自分の見方で考え直すことができることがとても面白いことだと思いました。

今回、初めてスポーツゼミの講義を受けてスポーツビジネスの優位性や課題について考えたが自分はあまり浮かばなかったのに対して周りの人は色々と思い付いていた上に九州で有名なチームが少ない、野球の情報は入 ってくるがサッカーの情報はあまり入ってこないなど興味深い案が多かったので人によって違うことを改めて実感してこのゼミの授業の関心がより感じられた。

ふみとし

初めはとても緊張して自己紹介が上手くできずにいました。そして自分の意見もいつも通り言えなかったのが後悔をしてしまいました。こういうゼミで様々な意見が出たりして参考になった部分が沢山ありました。

リク】

新聞記事からウェブに媒体を切り替えたことで、朝や試合中の PV が増えるタイミングで情報を伝えられることができ、ウェブの強みを生かすことができているというところがとても印象に残りました。

らい

とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。情報をどのように発信して受け取るかなど詳しく知ることが出来ました。グループワークでは様々な方とコミュニケーションをとることが出来、自分には無い観点からのアプローチもあり新たな発見になりました。

すずね

新聞記事をネットにあげるタイミングとして、PV を意識してあげていることを初めて知りました。 また、グループワークをした際にスポーツ×観光やスポーツ×利便性など目をつけているところが違っていて、意見を聞いていておもしろいなと思いました。

しょうた

今回のゼミでは西日本スポーツの紙からウェブへの移行などについて学びました。最近よく X で西スポの記事が流れてきて度々読んでいますが、確かにリアルタイムでの情報が流れてくるため、初めて聞いたような記事はたまに見るなと感じました。 また、グループワークでアビスパファンとしてホークスの情報が多いことをホークスファンも思っていることは驚き ました。

ナジマ

新聞社として紙からメディアに移行することで、スポーツ分野では盛り上がっている時、需要が一番ある時に共 有することができるという点では思い切った判断だと思った。グループワークでは、スポーツビジネスの現状 を知るには九州の外からの視点も考慮する必要があると感じた。市川先生の話で、福岡は野球ファンよりもホー クスファンが多いと聞いて、九州内にチームが少ないというのも利点に変わると分かった。

そうた

今回のゼミで西スポ WEB OTTO!がこれまで何を行ってきたかなどの歴史やビジネスのスタイルを知ること、普段述べない自分の意見をスポーツビジネスに対して述べることができた。

あい

今期も参加することが、できたので昨年よりも良い企画提案をできたらと思っております。楽しんで今期も取り組 みたいです。 本日は、改めて、西スポWEB OTTO!の取り組みについて認識できました。昨年とは、違う取り組みもあるようですの で、非常にワクワクしています。ゼミ活動を通して、よりスポーツビジネスへの認識を増やしていきたいです。

コーヘー

西日本スポーツ新聞が OTTO というウェブのみのメディアになっていることを初めて知りました。ウェブの強みで あるリアルタイムで情報提供ができ、若者に興味を持ってもらおうとする理念についてまなぶことができました。

りほ

新聞報道の形やマーケティングなど、今まで知らなかったホークスを取り巻くもののお話は非常に興味深かった です。「ホークスのライバルは誰なのか」というような、今まで自分が考えもしなかったことについて考えたり意見 を聞くことができ、これから色々なことの知見を深められることを期待してわくわくしました。

かよこ

西スポ OTTO!は知っていて、記事はたくさん読んだことがありました。紙の媒体が WEB上だけに移行した経緯、課題などが知れてとても良い機会になりました。今までとは違う視点で西スポ OTTO!の記事を読むことができそうです。今回は一回目であまり発言できなかったのてこれから積極的に発言していこうと思います。

りゅう

福岡や九州でのスポーツビジネスについて話し合って優位性や課題が沢山あると話し合いをしていく中で見つ かった。現在ソフトバンクホークスのブランド力はとても高くて、次にアビスパ福岡だったりするが、福岡には他にも沢山のプロスポーツがある中でこの他のスポーツがもっと知られるようになるにはどうしたらいいのかなど、 多くの課題が見つかった。今後その課題を色んな意見を元に解決していきたいと感じた。

いおりんご

九州といえばホークスというイメージが強く、ブランド化がすごいと思ったことと、スポーツと観光という関係性が強いため、そういうことが優位性だと考えられた。また、他の地区と比べ九州の人は温かく協力的という一方、九州の田舎と福岡という都会では人の協力心の違いがあり、都会はスポンサーなどの協賛がないと続けることが難しいため 1 発で終わることが多いのでは?という見解が出た。

© 株式会社西日本新聞社