笑福亭仁智 偉大な先人たちの思い継承し上方落語の“悲願”復活願う

 「上方落語・繁昌亭体験ツアー」をPRする(左から)桂慶治朗、笑福亭仁智、月亭秀都(撮影・高部洋祐)

 落語家で上方落語協会会長の笑福亭仁智(71)が2日、大阪市北区の天満天神繁昌亭で行われた「上方落語・繁昌亭体験ツアー」ファムトリップに出席した。

 コロナ禍も一段落し、従来の客を寄席に呼び戻すために今年6月から行われている当企画。10名以上からの受付で、若手噺家による初心者向けの分かりやすい解説や、普段見ることのできないバックヤードや楽屋口の見学などで、好評を博している。

 登壇後に取材に応じた仁智は「コロナ前と比べて、現在は80%くらいまでお客さんの入りが戻ってきた。今までこういった営業をかけることはなかったが、団体のお客さまは貴重なので」と、当企画に注力する。

 同時に仁智は、コロナウイルス感染拡大により2020年2月を最後に休席している「島之内寄席」の復活を願った。1972年に当時の上方落語協会会長であった笑福亭松鶴の発案で始まった興行で、当初は心斎橋の島之内教会で行われ、その後、船場センタービル地下のボウリング場や、ダイエー京橋店などを経て、2018年からは上本町六丁目の会場での開催となっていた。

 仁智は「やっぱり復活させたい。われわれからすると『島之内』というのはものすごい大事な名前。松鶴や戦後亡くなった人たちの思いがある。苦渋の辛い時代が長かったもんですから。ちょうど僕もその頃(1971年)に入門して」と、偉大な先人たちの思いを継承し、上方落語の“悲願”成就を誓っていた。

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