飯塚市と日立システムズなど、健康なまちづくり実証事業でPHRサービスの有用性を確認

福岡県飯塚市と日立システムズ、インテグリティ・ヘルスケア、ANA X、沢井製薬の日本ウェルビーイングコンソーシアムは7月1日、飯塚市で実施した「PHR(Personal Health Record)サービスを起点とした業種間連携型の健康なまちづくり形成に関する実証事業」の結果を公表した。

今回の実証事業では、ANA Xが提供する日々の移動でマイルがたまる「ANA Pocket」と、沢井製薬が提供するPHRを管理する「SaluDi」の2種類のスマートフォンアプリケーション(無料で利用可能)を活用し、自治体の課題である健康無関心層への「健康意識の向上」「体重の減少」「健康行動への行動変容」の有用性を確認することができた。

実証事業は、「すべての人が健康でいきいきと笑顔で暮らせるまち」を将来像に掲げる飯塚市で、市民と地元企業の190人を対象者として実施した。実施期間は、2023年12月1日から24年3月31日。ANA Pocketで、飯塚市限定チャレンジとして徒歩での移動距離や市内商業施設「イオン穂波」「ゆめタウン飯塚」への訪問に応じてインセンティブを付与することで活動量の増加を促すとともに、SaluDiによりPHRサービスに触れる環境を提供し、健康行動を促した。

実証後のアンケートでは、72.8%が「実証前と比べて健康に関して意識することが増えた」と回答しており、参加者の健康意識の変化が確認できた。「健康意識」「運動習慣」「食習慣」「測定習慣」に関する項目を点数化した主観バランスの変化をみると、とくに健康無関心層が健康関心層と比べて数値の改善がみられた。

24年1月から3月の参加者全体の平均体重は0.6㎏減、BMIは0.3減、健康無関心層では平均体重1.6㎏減(体重2.4%減)、BMI0.6減と、さらに有意な体重減少が確認できた。

また、実証後アンケート回答で6割が飯塚市限定チャレンジやインセンティブが「行動(外出・運動)のきっかけになった」と回答した。そのほか、参加者の意見からは「アプリがきっかけで飯塚市内の商業施設へ出かける機会が増えた」「自分の健康状態を把握するいい機会になった」「目標歩数を設定し、週末には普段は通らない道を通ったり、近所の方との会話を楽しみながら、ウォーキングするようになった」など、ANA PocketとSaluDiの活用が健康行動につながったという多数の意見があった。

今後、日本ウェルビーイングコンソーシアムは、アプリケーションを利用した健康行動とその効果を分析する分析ダッシュボードを含めた実証実験の結果をモデル化し、自治体はもとより健康経営を推進する企業に対して、今回の飯塚市実証事業モデルを展開する。特定健診の受診率が低迷している問題や国民健康保険に移行する60歳以上の人に健康習慣がなく不健康な状態の人が多いという問題など社会課題の解決に寄与していく。

沢井製薬はSaluDiを、個人の健康データの蓄積だけでなく、連携医療機関・調剤薬局などとの連携拡大、医療の場でのPHRの利活用を推進し、疾病管理・未病予防に役立てることを目指す。

ANA Xは、ANA Pocketの「チャレンジ」などを用いて楽しみながらの健康行動を支援することに加え、ANAのマイルを利用できるANA Payなどを用いて地域経済の活性に貢献していく。

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