ウォリアーズのビッグ3体制についに終止符!トンプソンが5度目の優勝を求めてサイン&トレードでマブズへ<DUNKSHOOT>

NBAでは6月30日(日本時間7月1日、日付は以下同)に全30チームのFA(フリーエージェント)選手との交渉が解禁された。

解禁から2日目の7月1日、ダラス・マーベリックス、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、シャーロット・ホーネッツの3チーム間でサイン&トレードが合意。米スポーツ専門局『ESPN』をはじめとする複数の現地メディアは、マブズがクレイ・トンプソン、ウォリアーズがドラフト2巡目指名権2本、ホーネッツがジョシュ・グリーンを獲得したと報じた。

このサイン&トレードの主役は、なんと言ってもトンプソンだ。2011年のドラフト1巡目11位でウォリアーズから指名されてNBA入りしたピュアシューターは、ルーキーシーズンの途中から先発に定着。ステフィン・カリーの相棒として10年以上に渡ってプレーし、ウォリアーズはカリー、トンプソンの“スプラッシュ・ブラザーズ”とドレイモンド・グリーンのビッグ3を中心とした布陣で2015、17、18、22年とNBAチャンピオンまで上りつめた。

『ESPN Stats & Info』によると、カリー、トンプソン、グリーンのビッグ3はレギュラーシーズン420勝、プレーオフ98勝の計518勝をマーク。新陳代謝の激しい現代NBAで素晴らしい実績を残した。

ウォリアーズはカリーとトンプソンがオフボールで動き回り、グリーンらチームメイトが彼らにパスを捌いてオープンの3ポイントを決めるというパッシングゲームを展開してきたが、トンプソンの移籍でチームのひとつの時代が終焉を迎えた。
キャリア13年目の昨季、トンプソンは77試合の出場で平均17.9点、3.3リバウンド、2.3アシストに3ポイント成功率38.7%(平均3.5本成功)を記録したものの、シーズン途中にはシックスマン起用、さらに試合終盤に出番が与えられないこともあった。

トンプソン退団に伴い、将来ウォリアーズは背番号11を永久欠番にすることを表明。在籍時に優勝4度に加え、オールスターに5度、オールNBAチームに2度、オールディフェンシブチームにも1度選ばれ、レギュラーシーズン通算3ポイント成功2481本はNBA歴代6位、プレーオフでは同2位の501本を沈めてきたのだから、欠番入りにふさわしい選手と言える。

トンプソンにはレブロン・ジェームズの勧誘もあり、父マイカルが所属した故郷の球団ロサンゼルス・レイカーズ行きの噂もあった。『TNT』のクリス・ヘインズ記者によると、レイカーズはトンプソンに年平均2000万ドル(約32億2000万円)をオファーし、ディアンジェロ・ラッセルを差し出すサイン&トレードを持ちかけたが、ウォリアーズ側は首を縦に振らなかったという。
『ESPN』は、トンプソンがカリフォルニア州よりもテキサス州の方が財政面でメリットがあること、そしてマブズが昨季NBAファイナルまで勝ち上がったことが、決断に大きく影響したとリポートしている。

相次ぐケガにより、オールディフェンシブチームに選ばれていた頃と比較するとディフェンス力が落ちていることは否定できないが、爆発力も兼備したリーグ有数のシューターがいることで、相手チームへ与えるプレッシャーは相当なものとなる。

2人で平均60点近くを稼ぎ出すルカ・ドンチッチ、カイリー・アービングの超強力ガードコンビに、トンプソンを加えた今季のマブズのオフェンスはますます厄介になるはずだ。
なお、マブズは今夏にトンプソン以外にもデトロイト・ピストンズからウイングのクエンティン・グライムズ、FA戦線で3&Dのナジ・マーシャルを獲得している。

新天地マブズで、トンプソンはもう一花咲かせて自身5度目のリーグ制覇を果たせるのか。34歳のベテランが下した決断が功を奏するのか注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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