「PSO2 ニュージェネシス」3周年インタビュー!新コンテンツ「ラインストライク」の誕生秘話やさまざまなコラボレーションのこだわりが明かされる

セガがサービス中のオンラインRPG「PSO2 ニュージェネシス」(以下、NGS)。ここでは、シリーズプロデューサー・木村裕也氏と、シリーズディレクター濱崎大輝氏へのインタビューを掲載する。

2024年6月9日でサービス開始から3周年を迎えた「PSO2 ニュージェネシス」。今回はその3周年のタイミングに、シリーズプロデューサー・木村裕也氏と、シリーズディレクター濱崎大輝氏のお二人に、「NGS」3年間の振り返りから、6月のアップデートにて実装された新フィールド「ネームレスシティ」やミニゲーム「ラインストライク」に今後のアップデートまで、さまざまなお話を伺うことができた(インタビューは6月上旬に実施)。

(写真右から)木村裕也氏、濱崎大輝氏

■3周年は、これまでより新しいことが出来た1年だった

――まず、この3年を振り返ってのお気持ちからお聞かせください。

木村氏:3周年と聞いて、なんかあっという間だったなっていうのが正直な実感で、特にこの2周年から3周年の間が1番短く感じたかもしれないです。ちょうど2周年が「ver.2」に変わったタイミングで、そこから結構怒涛のアップデートが続いたこともあったので、特にこの1年は早かったなという印象です。

「NGS」初期はたくさんのユーザーさんに入ってきていただきましたが、ボリューム不足などの問題もあり、すぐに離脱されてしまった方もいられました。しかしそのような状況の中でも、たくさんの方に応援いただいてきました。僕らもなんとかそれにお応えできるように、コンテンツやボリュームを増やしていって、まだまだ十分ではないかもしれないですが、それでも初期の頃に比べたら、今の「NGS」はだいぶ良くなっていると実感できるようにはなってきたかなと。そういった状態で3周年を迎えられたっていうのは、非常に嬉しいことだなと思っています。

――やはり大変だったのは、「ver.2」へのアップデートの影響が大きかったのでしょうか。

木村氏:そうですね。「ver.2」に合わせて新しいコンテンツも配信しましたし、過去2年にはやってなかった施策や、その後2.5周年をやった影響もあったかもしれないですね。この1年は、前2年より新しいことができた1年なんじゃないかなと思ってます。

濱崎氏:僕も本当に「もう3周年か」っていうところが素直な感想ですね。ロンチしたのがついこの間のように感じられるくらい、 あっという間だったなと思っています。

昨年の「Ver.2」をロンチしたあとは、コンテンツ自体の評価は良かったものの、報酬面に問題があり、離脱されてしまったユーザーさんもいらっしゃったと考えています。その後方針を変更し、2.5周年施策や3周年施策、先日ロンチしたネームレスシティ探索も含めて、報酬面の改善っていうところを行ってきました。今はそういった報酬面の不満を結構大きく取り除かれている状態にできたのは、非常に良かったのではないかと考えています。

一方でうまくいかない部分もありつつではあったのですが、ユーザーの皆さんのおかげで3周年を達成することができたというところは、本当に感謝しています。

――「PSO2」シリーズの歴史が長いので、ちょっと感覚が麻痺してしまうところがあるんですが、今思うと3年続くことが結構すごいことなんだよなと、昨今のゲーム業界を見ていると強く感じるようになりました。

木村氏:そうですね、やはり今スマホを含めたオンラインタイトルで、結構短命で終わってしまうサービスもある中で、これだけ長く続けられているっていうのは非常に幸運なことで、皆さんのおかげかなと思っています。

――3周年に合わせていろんな施策を行われたと思うのですが、とくに反響が大きかったり思い入れの深いものはありましたか?

濱崎氏:期間中に最大150回まで引ける、1日10回のSGスクラッチ無料は非常にご好評いただいてる部分ですね。 以前にも近いものは実施していたのですが、その時は期間中ではなく、1日10回を最大で15日分まで連続で引けるというもので、1日ログインを逃してしまった方のマイナスが大きくなっていました。今回はそこを改善して、連続ではなく期間中に規定数ログインすれば最大の150回まで引けるように変更しています。

結果、スクラッチだけではなくコンテンツを遊んでくださる方も多くなっていて、期間中は非常にアクティブが安定し、効果的な施策ができたという実感があります。

――確かに、ああいう連続ログインって、一回途切れちゃうとガックリきちゃいますよね。

濱崎氏:あと、これは個人的な話になってしまうんですけど、昨年「NGS」のキャラクターソングCDを発売するにあたり、初めてキャラクターソングの監修を担当させていただいたんですが、それを「超・星譚祭」のカウントダウンキャンペーンでミュージックディスクとして配布できたのは、すごく嬉しかった部分でしたね。

――この前のコーエーテクモゲームスさんの「ライザのアトリエ」だったり、さまざまなIPとのコラボにも積極的に取り組まれていた印象です。

木村氏:そうですね。確かにこの1年間はコラボをかなりやらせていただきました。基本的には、ユーザーの方に刺さるようなコンテンツやIPが中心なんですが、長く遊んでいただいているシリーズファンの方も多くて、ちょっと懐かしいIPみたいなところともコラボさせていただいています。

この1年だと「BLACK LAGOON」とのコラボも結構喜んでいただけているみたいで、そのあたりは12年続いている「PSO2」シリーズだからこその傾向なのかと。「るろうに剣心」とのコラボも、原作から好きだったという声をよくいただきました。

一方で「【推しの子】」のようなTVアニメ放送が始まったばかりとのコラボは、過去にもあまり実現できていなかったところだったので、そこができたのも良かった一年だったのかなと思っています。

――「PSO2」でもコラボはいろいろ実施されていたと思いますが、今年は特に多いように感じましたが、そう意図した部分があったのでしょうか。

木村氏:そうですね。コラボ自体は「PSO2」の頃も結構やらせていただいたのですが、「NGS」については、最初はコラボよりもまずベースとなる「NGS」としての世界観に沿ったものを優先してコンテンツを配信していくという方針を決めていました。

それがある程度固まってきた、サービス開始から1年半くらいのタイミングからコラボを解禁して、そこから徐々に回数を増やしていったような形で、去年の2周年の後くらいからは、ほぼ毎月1回のペースでやらせていただいています。ある程度「NGS」らしい衣装が揃ってきたので、あとはコラボでよりバリエーションを出していくため、「ver.2」からは意図してコラボの回数を増やしています。

――余裕ができた……という言い方は正しくないのかもしれませんが、それだけゲームとしての基盤が固まってきたということですよね。

木村氏:実際、コラボのためにアバターアイテムを作る時は、版元さんとのやり取りが何度もあって、我々のスケジュールだけでは進められないというところがあるんですね。「NGS」初期の頃は、それを踏まえた上で開発を進めるのは難しかったかもしれません。1年半くらい経った段階で、版元さんときちんとやり取りができるスケジュール組みができるようになったという面はあるかなと思います。

■ネームレスシティのコンセプトは「探索」と「リプレイ性」の両立

――6月に実施されたアップデートについてのお話もお聞かせください。ネームレスシティについては、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか?

濱崎氏:ネームレスシティのクエストは、「探索とリプレイ性の両立」をコンセプトに作らせていただきました。

「NGS」の初期から、オープンフィールドでの探索の遊びという部分は提供できたと思っているのですが、何度もプレイしていると、やはりユーザーさんが慣れてリプレイ性が低くなってしまい、そこが「NGS」というタイトルの大きな課題だと考えていました。

それで昨年には、「ver.2」のメインコンテンツとして、「ルシエル探索」を配信したんですけれど、それがユーザーさんから一定の評価を受けられたこと、リプレイ性についてもある程度担保できていたことから、「ルシエル探索」に続くリプレイ性のあるコンテンツというところを目指して開発をスタートさせました。

ネームレスシティでの報酬の獲得については、探索ポイントを溜めてチェストを開けるんですが、ポイントを多く持ちすぎるとエネミーから受けるダメージが大きくなってしまうデメリットがあったり、ちょっと新しい仕組みを入れています。

――ポイントを貯めるほどデメリットが増えるのって、結構変わった仕様ですよね。

濱崎氏:やっぱり、普段オープンフィールドを探索してる時って、すごく強いエネミーとか2つ名がついているエネミーと遭遇しない限り、あんまり「死のリスク」みたいなのがないんですよね。ネームレスシティでは、普通のエネミーとの戦闘でも、少しそのリスクを感じるようなタイミングがあって、普段とは異なるドキドキ感やハラハラ感を楽しんでいただきたいなと。あとはただチェストを開けるだけじゃなく、そのリスクを踏まえた上でどのタイミングでチェストを開けるかといった、ポイントマネジメントみたいな仕組みを入れることでも、リプレイ性を担保しています。

あとは「NGS」の初期って自然地形が多かったんですけど、やっぱり「SFらしさを感じられるようなフィールドが欲しい」というユーザーさんからのご意見も多くいただいていたので、建造物を中心としたフィールドとして作らせていただきました。

ルシエル探索からの期間が短かったので、デザイナーさんからは「厳しいかもしれない」という話もあったんですけど、その限られた期間の中でも、開発メンバーが一丸となって作ってくれたおかげで、ビジュアル的なクオリティも高いですし、遊びの面でも目標としていたところが実現できたのではないかなと。現状はユーザーさんからも楽しんでいるという声を結構いただいていて、胸を撫で下ろしています。

――そこともちょっと繋がった話になると思うんですけど、あわせて「EX特殊能力」という新要素も登場しました。

濱崎氏:まず「NGS」では、ドロップ品を求めて繰り返しクエストをプレイするハック&スラッシュ的な遊びも、楽しみの一つとして位置づけているのですが、高レアのアイテムというのはドロップ率が低いので、当然なかなか欲しい装備は手に入らないんですね。そういう厳選の難易度が高い問題もあって、なかなかそういった要素を楽しめないユーザーさんも多くいらっしゃったと認識しています。

なので今回は、武器ではなく武器につくEX特殊能力を厳選するという部分にハクスラの要素を持っていって、武器自体はドロップしやすくなっています。これで武器がまったく落ちなくてプレイのモチベーションが上がらないという問題は解決できたかなと。

また、武器についているEX特殊能力の組み合わせは変えられないんですが、理想のEX特殊能力が出た場合は移植を簡単にできるようにもしています。一回理想の組み合わせの武器を手に入れられれば、あとは徐々に移植して強化していけるようになっているので、理想の個体を入手するまで、まったく強化ができないという従来のサイクルを見直しています。

――なるほど。武器育成に中間的な部分を設けたような意図だったんですね。

濱崎氏:はい、そうなります。段階的にステップアップできるようにというところを意識して作りました。

とはいえ、今後配信するアイテムも全てこのパターンかっていうと、その限りではないかなとは思うんですけれども、今回うまくいったところではあります。今後もバリエーションの一つとして使い分けて配信計画を立てていけたらなと考えています。

――ゲームバランスにはどのくらい影響する想定なのでしょうか。

濱崎氏:武器の特殊能力に何をつければいいのか分からないという問題があって、とりあえずEX特殊能力を3つつけておけば攻撃力がある程度担保されますので、ユーザーさん全体での火力の向上というのは起きていると思います。

トップ層だけではなく、全体的なプレイヤーのアベレージが上がっていて、今後はEX特殊能力がついていることを前提にバランスを取っていくことになるので、大きく崩れるようなことはないと考えています。一方で過去の高難易度コンテンツに関しては難易度は変わりませんので、クリアできるユーザーさんも徐々に増えていくのではないかなと。

■「コードギアスR2」&「ソニック」コラボのこだわり

――6月には「コードギアス 反逆のルルーシュR2」とのコラボも実施されていますが、こちらの経緯などについてもお聞かせ願えるでしょうか。

木村氏:コラボに関しては、こちらから版元さんにご相談させていただく形がほとんどなのですが、今回に関してもこちらからお願いさせていただいて実現したものです。

「コードギアス」については、長い歴史のあるIPで、「PSO2」時代も含めて何度か候補に上がっていて、ユーザーさんからも要望が多く寄せられていたシリーズでした。ただ、やっぱり「コードギアス」を扱うなら、「ナイトメアフレームをキャスト化して欲しい」という意見もあって、我々としてもそこは認識していたんですが、仕様的にキャスト化は難しいだろうということも「PSO2」時代から分かっていました。だからやりたいけど、ちょっと難しいという形で諦めてかけていたんですが、今も「奪還のロゼ」のような新作が公開されたり、ユーザーさんからの要望も依然として高いシリーズでしたので、キャラクターを中心とした形でコラボさせていただきたいなと。

ナイトメアフレームを要望されていた方には物足りない部分もあったかもしれませんが、なんとかナイトメアフレームの要素も入れたかったので、普段はあまりやらないマグ一気に3種とか、モチーフの武器も用意させていただきました。なので、100点満点ではないかもしれませんが、ナイトメアフレームファンの方にも喜んでいただけるものになったのではないかと思っています。

――「ソニック」シリーズとのコラボも再度行われますが、こちらについてはいかがでしょうか。

木村氏:「ソニック」については、去年初めてコラボクエストを実装させていただいた時も非常に好評でした。ただ、あの時は1週間限定だったのもあって、またやってほしいという要望を結構いただいていたので、もう一度やろうというのは去年から考えていました。6月はちょうど「NGS」の周年でソニックの誕生日のタイミングでもあるので、再びコラボさせていただいたという形になります。

――スピード感であったりコースであったりSEであったり、「ソニック」感がすごくありますよね。

濱崎氏:実はそこは、クエストを作ってくれているスタッフが大の「ソニック」好きで、もうモチベーションがとても高くて(笑)。「こういうコースが作りたい」っていうアイディアをガンガン出してくれて、そういうところも評価いただけた要因なのかなと。

木村氏:社内でのコラボということもあって、「ソニック」チームの協力……というか、いろいろ許してもらえるところが多いといいますか(笑)。毎回非常にありがたいなと思っています。

濱崎氏:あのリングをくぐった時のSEがちゃんと鳴ると、「ソニック」やっている感が出ますよね(笑)。

――「PSO」シリーズとしてさまざまなIPとコラボしていく上で、大事にしているポイントはあるのでしょうか?

木村氏:先ほども言いましたが、やっぱり何かしら今の「PSO2」ユーザーさんに親和性のあるIPとコラボさせていただくというところでしょうか。

「PSO2」ユーザーさんだからこそ喜んでいただけるコラボの方向性みたいなのは探っていきたいと思っていて、例えば以前にコラボさせていただいたコトブキヤさんの「フレームアームズ」シリーズとかですね。さきほどお話した、キャストの構造部分の問題とかも、元がプラモデルなので相性が良くて、すごくIPとしての親和性が高いなと勝手に思わせていただいていました。

他には「異世界おじさん」とのコラボもそうですね。あれこそセガならではというコラボですけど(笑)、おじさんが「NGS」をプレイする動画もすごく反響がありました。今後も、ああいったユーザーさんに「なるほど」と思っていただけるような取り組みができればと考えています。

■「ラインストライク」はサービス開始前から企画されていた

――まったく新しいコンテンツとなるカードゲーム「ラインストライク」についてもお聞かせください。こちらの実装にはどのような意図があったのでしょうか?

濱崎氏:まず、元々「NGS」のサービスを開始するにあたって、昨今、他のオンラインゲームにもあるようなユーザーさんに遊んで交流していただける非戦闘系コンテンツを用意したいと考えていたんです。その施策として、ゲーム内に実装するミニゲームを決める社内コンベンションをロンチ前のタイミングで実施していました。

その中で一番戦略性が高く面白かったものが「ラインストライク」で、それをゲーム内に実装できないかというところが開発のきっかけになっています。

ただ、ユーザーさんはそういうサイド的なものよりも、メインのクエストやバトルのコンテンツを充実させて欲しいという方が多いと認識しておりますので、そこに影響が出ないように、メインのコンテンツと並行して開発メンバーが頑張って捻出した時間の中で、少しずつ開発を進めていたものです。なので、実装するタイミングにはあまり意図はなくて、しっかりとしたものをお届けできるようになったのが今だった、というような形ですね。

――先程のお話にもありましたが、こうしたゲーム内ミニゲームは昨今いろんなオンラインゲームで導入されています。「NGS」に関しては、ミニゲーム的なコンテンツを入れるのに世界観的な縛りがあまりないタイプのタイトルだと思うのですが、いろいろな選択肢の中でカードゲームというジャンルを選んだ理由はどこだったのでしょうか?

濱崎氏:やはりバトル系のゲームとは異なったプレイ体験ができるというところがまず一つ。あとは「PSO2」シリーズのユーザーさんって、PvPコンテンツをあまり好まれない方も結構おられるんですが、カードゲームは対戦だけではなく交流のきっかけにもなりやすいというのも一つの理由になります。

あとは、これは開発側の事情になりますが、セガからは「PSO2」の時にフィジカルなリアルのカードゲーム(※「PSO2 TCG」)を発売していたというところもあって、そこで使っていた素材を利用することで、開発コストをある程度抑えつつ、新しいコンテンツを作れるのではないかというところもありましたね。

木村氏:これはもしかすると濱崎も知らない話かもしれないんですけど、実は「PSO2」を立ち上げる初期構想の段階から、他のオンラインゲームにはない要素を色々入れたいという話はしていて、その中の一つにユーザー同士が対戦できるカードゲームもあったんです。結局それは「PSO2」では実現しなかったんですけど、「PSO2」の初代ディレクターとしてそれが結構心残りだったのも影響していますね。その上で、コンベで出てきたアイディアが面白かったので。

――「PSO」シリーズとしても、カードゲームを題材としたタイトルがリリースされていますよね。

木村氏:最初の「PSO」シリーズのエピソード3「カードレボリューション」ですね。なので古くからのシリーズファンとしては、カードゲームというジャンルは違和感がないかもしれません。それに加えて、オンラインカードゲームって遊びの幅が結構あって、カジュアルに対戦を楽しめるコンテンツとして「NGS」との相性がいいんじゃないかなと。

そういう考えをもっていた中で、僕の中では「PSO2」の初期構想時に考えていたものを、今のスタッフが10何年越しに実現してくれたことに、個人的には感慨深いものを感じています(笑)。

――自分も実際にプレイさせていただいて、シンプルな中の面白さみたいな部分をすごく感じました。ルールはどのように決まっていったのでしょうか?

濱崎氏:ルールに関しては、もう最初のコンペの時点でほぼほぼ完成していて、その後変わっていったのは、個々のカードのバランス調整くらいですね。最初の企画の段階で、今の8・9割くらいの完成度はあって、1度紙に印刷して、アナログで遊んでみて問題がないか検証したりもしていました。

――個人的に、高コストのバフ系のスキルを持つカードとか、できるだけ対象のカードが揃ってから使いたいんですけど、温存しすぎるとほとんど意味がない場面で出す羽目になったり、使うタイミングが難しいのが面白かったです。

濱崎氏:そうですね。高コストカードを出すとほぼ決まるんですけど、いかにそこまでに場を整えておくかが重要になります。あと移動の効果が非常に強力で、「ラインストライク」ならではの特徴になってもいる部分なので、相手の出してくるカードや配置を予想して駆け引きするのは、大事なポイントになってくるかなと思います。

木村氏:さっきアナログで検証したみたいな話があったと思うんですけど、実際にやってみると、参照しないといけない情報が結構多いので、アナログだと結構プレイヤー側でいろいろ補完しあわないと成立しない部分もありました。TCGと言ってはいますが、やっぱりデジタルだからこそできる遊びのルールになっているのかなと思います。

――結構いろんなデッキパターンやカードがありますが、個人的に気に入られているものはありますか?

濱崎氏:ちょっと具体的な戦術は、環境に影響が出かねない部分があるのでできないんですけど、先程話した移動系の効果は「ラインストライク」の特徴でもあるので、そこを使いこなせるかには是非挑戦していただきたいなと。

個人的に気に入っているカードでいうと、フーリエとゲッテムハルトですね。二人はストーリーでの因縁があるんですが、「ラインストライク」だと二人共同じ属性かつ同じ効果のスキルを持っているんですよ。最初に遊んだ時にこの効果が設定されているのを見た時、あの因縁の二人が同じスキルだっていうのがオシャレなポイントだなと思っていて。

実は途中、一回効果を変えるみたいな話が出た時もあったんですが、「この二人が同じスキルをもっているのに意味があるから」という話をしてそのままにさせてもらったという出来事もあったり、結構思い入れがありますね。

あとは僕が大好きなニャウというマスコットキャラクターのカードが、エネミーとしての特性に準拠した効果になっていたり、他のカードも関連性のあるキャラクター同士の属性とか、スキル効果もそのキャラクターっぽいものになっていたり、結構細かいところまで考えて作ったコンテンツなので、そこも含めて楽しんでいただけければなと。

――自分がプレイさせていただいた時は、能力が腐りにくい光属性を中心にデッキを組んでいたんですが、やはりそのあたりの属性は結構初心者向け的な位置付けなんでしょうか。

濱崎氏:そうですね。炎と氷と光っていうのは、初めてラインストライクを触られる方でも、使いやすい属性になっているかなと。 逆に難しいのがやはり移動系の効果が多い風属性とかで、慣れると使い勝手がいいんですけど、使いこなすまでに少し時間がかかるかもしれません。そのあたりはご自身のプレイスタイルと、どういう風なデッキが好きかみたいなところから決めてもらえるといいのかなと思います。

■毎日遊ぶユーザーと週末だけプレイするユーザーの差が出すぎないゲームに

――再度「NGS」全体の話に戻りますが、サービス開始以降の3年間を振り返っていただいて、 開発の体制で大きく変化した部分はありましたか?

木村氏:やはりサービスインがコロナ禍のタイミングだったのもあって、ロンチの1年以上前くらいからフル在宅で開発をずっとしていたんです。今はメンテナンス日以外は、ほぼ出社しているんですけど、とくに在宅業務が始まった初期のころはなかなか慣れなくて、コミュニケーションにも時間が掛かってしまい、開発のスピードがあまり出せなかったというのはありますね。今は在宅と出社でハイブリッド化していて、非常に効率よく仕事できるようになったかなというのは感じています。

あとは、2周年のタイミングで「ver.2」をリリースしましたが、実は「ver.2」の開発は正式サービスが始まった3ヶ月後くらいから徐々にスタートさせていて、実質2年弱近くかけて開発していたんです。

この時チームは2つに分かれていて、最初は私が総合プロデューサー、濱崎がディレクターという体制でやっていましたが、「ver.2」に関しては別にディレクターを立てて、濱崎にはシリーズディレクターとして「ver.2」以前のコンテンツと全体のディレクション、そのディレクターには「ver.2」以降のコンテンツをメインに開発してもらうといった形で、より細かい役割分担に体制を改めました。ただ、「PSO2」のときもエピソード毎にディレクターを立てて、シリーズディレクターとして全体を見るというやり方は「PSO2」時代もやっていたので、「PSO2」シリーズとしてずっとやってきた体制に戻ったと言えるのかもしれないですね。

――近年はコンシューマやPCも含めてたくさんのライブサービスゲームがリリースされ、市場そのものも激化していると思うのですが、その中でユーザーさんに訴求していきたい「NGS」ならではの強みはどんなところだと考えていますか?

木村氏:いろんなタイトルがマルチプラットホームで遊べるのが当たり前になってきているんですが、マルチプラットフォームの中にも、単にそのハードで遊べますというタイトルと、違うプラットフォーム同士でも一緒に遊べますっていう2種類があると思っていて。

我々はクロスプラットフォームとも呼びますが、「PSO2」はきちんとクロスプラットホームで遊べるっていうところが強みの一つだと思っていす。あとはSwitchとPC向けにはクラウドサービスもやっていまして、ダウンロードしなくても手軽にさくっと試せるとか、アップデートの容量を気にしなくて良かったりするのが、結構他のタイトルにはない間口の広さかなと思ってますね。

――ユーザーの余暇時間の奪い合いみたいなところも激化していると思うのですが、「PSO2」シリーズとしてはユーザーにどういう風に時間を使ってもらいたいと考えていますか?

木村氏:基本的に毎日遊んでいただきたいというのはもちろんあります。

一方で、これは「PSO2」の初期から考えていたことなんですが、基本は据え置き向けのゲームなので、毎日遊ぶ方と週末だけ集中して遊ばれる方で、そこまで差がつかないような設計にしています。

もちろん毎日遊んだ方が成長は速いしアイテムもたくさん手に入るんですけど、週に1日プレイする方と7倍差がつくかというとそんなことはなくて。だいたい2~3倍くらいの幅に収まるように意識して調整している部分はあります。

あとはやっぱり12年続いているシリーズですので、ユーザーさんも他のオンラインゲームを含め、当然いろんなゲームを遊ばれていらっしゃると思うんです。そういう時に一旦「PSO2」をちょっと休んでからしばらくして戻ってきても、すぐに追いつけるというか、いつでも戻って来やすいような設計にはできているのかなと思っていて。

ずっと遊んでいただいているプレイヤーさん向けのコンテンツはもちろんですが、常に復帰ユーザーさんや新規ユーザーさんを含めた、いろんなユーザーさんのプレイスタイルに対応できるような施策を続けていきたいと思っています。

――2024年後半以降の施策について、現段階でお話いただけることはありますでしょうか?

濱崎氏:今年7月からは、「PSO2」の12周年を記念した「超・夢幻祭」をスタートします。これは「超・星譚祭」にも勝るとも劣らない大判振る舞いのイベントとなっていますので、現行のユーザーさんはもちろん、最近あまりプレイしてなかったという方にも、是非遊びに来ていただきたいです。

あとは、先日配信したネームレスシティの新しい区画のアップデートや、新しいアクションとなる特殊兵装「M.A.R.S.」も控えておりますので、楽しみにしていただければと。ネームレスシティの新区画やアップデートしたルシール探索では、その「M.A.R.S.」がより強くなったり、少し多く使えるようになるオブジェクトギミックも用意していますので、この夏は「M.A.R.S.」も含めた「NGS」のコンテンツをいろいろ楽しんでいただけるのではないかと思います。

その他には、年末の3.5周年に向けての計画や、来年には超大型スターレスのボスのアップデートも予定しております。2024年後半のアップデートも是非楽しみにお待ちいただければと思います。

――最後に、プレイヤーの皆さんに向けてのメッセージをお願い致します。

濱崎氏:非常にいい形で「NGS」の3周年と、あとはネームレスシティの配信を迎えることができ、とても嬉しく思ってます。

これからも、1日でも長くユーザーの皆さんに楽しんでいただけるように、開発一丸となってコンテンツの配信や施策の実施をしていきます。2024年後半も、楽しいコンテンツが控えていますので、引き続き応援をよろしくお願いします。

木村氏:6月で「NGS」が3周年、さらに7月には「PSO2」自体も12周年という形で、 改めまして、長く遊んでいただいているユーザーの皆さんには感謝申し上げたいなと思っております。

次は、当然4周年、13周年に向けてですね、実はもう結構先のものまで開発は進んでいます。先ほど冒頭で、2周年から3周年はあっという間だった、という感想をちょっと述べさせていただいたんですけども、ユーザーの皆さんにも、3周年から4周年はあっという間だったなと感じていただけるくらい、いろいろな「NGS」のコンテンツや施策をお届けできるように頑張っていきたいなと。

今回のインタビューの中でもありましたが、「PSO2」も「NGS」も、いろいろな遊び方をされているユーザーさんがおられますので、できるだけ多くのユーザーさんにとって遊びやすく、楽しんでいただけるような運営を目指して参りますので、引き続きよろしくお願い致します。

――ありがとうございました。

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