【2歳馬ジャッジ】重賞戦線で活躍必至のエリキング 牝馬世代トップ級の力を示したショウナンザナドゥ

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6月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は前走新馬戦で1クラス上の高指数を記録したショウナンザナドゥ、出遅れながらも優秀な指数を出したエリキングなどが現れた、6月22日、23日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

6月22日(土) 東京5R 優勝馬 モンドデラモーレ 指数-2 評価B
6番枠から五分のスタートだったが、行きっぷり良くハナ争いに加わっていった。そこからすっと控えて逃げ馬の後ろ3番手と理想的な位置で進めた。3~4角で最短距離を通り、直線序盤で逃げ馬の外に誘導。ラスト2Fで外から先に抜け出したワンモアスマイルを目標に仕掛けて先頭に立つと、ラスト1Fで差を広げて1馬身半差で完勝した。

上がり3Fタイムは33秒5、ラスト2Fは11秒2-11秒2と悪くないが、強烈なインパクトのある数字ではなかった。しかし、好位で上手く折り合って理想的な立ち回りができるレース巧者で、このタイプはスタミナのロスが少なく距離が延びて良さが出る馬が多い。使われながら少しずつ上昇していく馬となりそうだ。

6月22日(土) 東京6R 優勝馬 サトノカルナバル 指数-5 評価A
3番枠から好スタートを切ったが、外から前を主張する馬たちを行かせ、控えて折り合う優等生ぶりを見せた。道中は3列目の5番手を追走し、3~4角で外に誘導しながらじわっと上がって直線へ。さらに外に出されるとラスト2Fで先頭に並びかけ、残り300m辺りから抜け出した。抜け出すのが早かった分、最後は止まるかと思われたが、さらに差を広げて7馬身差の圧勝だった。

芝1400mの走破タイムは1分23秒6。上がり3Fタイムは34秒0、ラスト2Fは11秒1-11秒6と数字面はそこまで優秀というわけではない。このレースは2着以下の馬がやや弱かったようだ。

ただ早めに抜け出しやや苦しい形になりながら、後続に着差をつけての勝利は評価できる。走破タイムが遅かった点も疲れを残しにくく、今後に向けては良い材料。次戦以降の成長が楽しみな馬だ。

6月23日(日) 東京1R 優勝馬 レーヴドロペラ 指数-3 評価B
2番枠から出遅れ、促されてもあまり進まず、後方2列目の最内を追走。3~4角の最内からじわっと上がって、一列前に進出して直線へ。序盤で各馬が外に広がったことでコースの真ん中にスペースが生まれ、そこから追い込んで好位列まで上がった。ラスト1Fで抜け出して1馬身1/4差で勝利した。

前走時の指数比較では、6月東京の新馬開幕週でスターウェーブが勝利したレースの2着馬カルデライトがここでは断然の指数1位。人気も単勝オッズ1倍台の1番人気に支持された。ところが今回は9番枠から出遅れ、挽回して中団の内を追走していたが、3~4角で気合いをつけられても手応えが悪く、直線に向いても反応せず8着に惨敗した。新馬戦で好走した疲れが残っていたのだろう。

勝利したのは、カルデライトと同じ新馬戦では出遅れからの後方追走で2.9秒差の9着と惨敗したレーヴドロペラだった。新馬戦からまさに一変、単勝オッズ174.2倍での勝利だった。新馬戦では出遅れて追走も忙しく、能力を出し切れていなかったことが今回に繋がったのだろう。新馬戦で大敗した馬は軌道に乗るとかなり出世することがあるので、今後も要警戒だ。

新馬戦で走りすぎると疲れが残ってしまう一方、惨敗した馬は疲れがなくとも能力面が疑わしく、買うのが難しい。このレースはデビュー2戦目の難しさが出たレースだったと言える。

6月23日(日) 東京5R 優勝馬 ジョリーレーヌ 指数-3 評価A
7番枠から五分のスタートを切り、中団馬群の中目を追走。道中はペースが上がらず、掛かり気味だったが前の馬を壁にして我慢。3~4角で外目に誘導しながらもまだ我慢、直線序盤で大外に持ち出して進路を確保すると一気に好位まで上がり、ラスト1Fで抜け出して1馬身差で勝利した。

このレースは3F通過39秒2、5F通過65秒4とかなりのスローペース。こうなると上がり勝負となり、ジョリーレーヌは瞬発力の違いで差し切った。

上がり3Fタイム33秒9は、この日の東京芝ではかなり優秀な数字。ラスト2Fは11秒4-10秒9。以前の水準ならラスト1Fは11秒2か11秒3秒くらいの価値ではあるが、それでも評価できる。今回のレースは大きく疲れを残すような内容ではないので、ここから順当な上昇が見込めそう。なかなか面白い馬に成長していきそうだ。

6月22日(土) 京都1R 優勝馬 ショウナンザナドゥ 指数-8 評価AA
4番枠から好スタート。内のコムーネの方がスタートは速かったが、ショウナンザナドゥの二の脚が速く、先頭に立ちそうになり手綱を引っ張ってコムーネを先に行かせた。道中は2番手の外を追走、3~4角で再びコムーネに並びかけ4角で先頭へ。直線序盤では同馬をマークして乗っていたゼンダンハヤブサが接近し2番手に上がったが、それでも2馬身、3馬身とどんどん差を広げた。最終的に2着ゼンダンハヤブサに5馬身差、3着馬に12馬身差をつけて圧勝した。

ショウナンザナドゥは6月京都の新馬開幕日の新馬戦でダノンフェアレディとマッチレースを演じた馬。前走は2着ながら指数は1クラス上でも通用するほどの高指数を記録しており、前走通りに走れればここも圧勝するのは当然だった。

指数は前走比でわずかに上昇。新馬戦好走馬は疲れが残って2戦目で凡走することも多々あるが、ショウナンザナドゥは前走の走り程度では疲れが残らない、潜在能力がとても高い馬であることを証明した。ここからまだまだ伸びそうだ。今後、この世代の牝馬クラシック路線でトップを争う馬となっていくだろう。

6月22日(土) 京都5R 優勝馬 ラプラーニュ 指数-2 評価B
6番枠から五分のスタートを切りゆっくり行かせたが、抑えるのに苦労し中団馬群の中目で頭を上げる場面が見られた。3~4角で3頭分外から2列目まで上がっていくロスがあり、4角出口でやや置かれたが、直線序盤で2列目まで盛り返した。ラスト1Fでもしぶとく伸びて内のモンテディアーナをかわし、大外から迫るアーリントンロウを退けてクビ差で勝利した。

外が伸びる馬場を考慮しても3~4角でのロスがやや大きく、長く脚を使わされてしまった。弱い馬なら最後に止まってしまうパターンだったが、しっかりと伸びてクビ差で勝利した。上がり3Fタイム33秒9、ラスト2Fは11秒5-11秒2とまずまず。着差が小さい勝利ではあったが、ロスのあるレースを勝ったことは着差以上に価値がある。なかなか強い馬と言えるだろう。

6月23日(日) 京都5R 優勝馬 エリキング 指数-8 評価AA
1番人気エリキングは6番枠、2番人気サラコスティは8番枠からともに出遅れ。前者は中団やや後方の外目を追走、後者はそれをマークする形で進めた。エリキングは3~4角の外から2列目まで押し上げ、直線で馬場の良い外に出されて追われると一気に伸びて先頭に立った。それを目標に追うサラコスティだったが、ラスト1Fでも差は詰まらず、エリキングが1馬身半差で勝利した。

上がり3Fタイム34秒3、ラスト2Fは11秒5-11秒3。重い芝の京都としてはなかなか優秀で、指数もなかなか優秀なものとなった。今回の上位2頭エリキング、サラコスティはともに出遅れているので全能力を出し切ったものではないだろう。今後も順当な上昇が期待できる。特にエリキングは素晴らしいフットワークが印象に残る馬。重賞戦線で大活躍する馬となりそうだ。

6月22日(土) 函館1R 優勝馬 モジャーリオ 指数-2 評価B
6番枠から五分のスタート。新馬戦同様に行きっぷりがあまり良くなく、促されながら中団の外を追走。3~4角で前との差を詰め、4角で外に誘導して直線へ。序盤でしぶとく伸びて内のシュードタキライトとの競り合いになったが、ラスト1Fでこれを制して外から迫るニシノクードクールを振り切ってクビ差で勝利した。

今回の出走馬で前走成績がもっとも良かったのは函館開幕日の芝1000m新馬戦で2着のワイルドゴーア。前走で1000mを使われているだけに、スタートダッシュは抜群に速く、そのまま逃げたが4角手前で失速し、しんがり負け。新馬戦の疲れが出てしまったようだ。

1、2着は最後の直線で外から差したモジャーリオとニシノクードクール。ともに新馬戦では出遅れて追走に忙しく、能力を出し切れていなかった馬たちだ。

この未勝利戦はあまり優秀な指数決着ではなかったので強く推すことはできないが、早い時期での2歳重賞はキャリアを積んだ馬のほうが有利となりやすい。新馬勝ちの馬を過大評価することなく、地味な未勝利勝ちの馬に注目することが馬券戦術上はとても大事だ。

6月22日(土) 函館5R 優勝馬 カルプスペルシュ 指数-2 評価A
2番枠から好スタートを切ったが、内にもたれてフラフラ。ポジションが下がってしまったが、立て直して逃げ馬の後ろ4番手で流れに乗った。しかし、3~4角で包まれて直線序盤は前が壁。ピンチとなったがラスト1Fで一旦下げて勢いに乗せ、狭い間を割って一気に伸びてクビ差で勝利した。

上がり3Fタイム33秒8は、この日の函館芝としてはなかなか優秀なもの。ここまでの函館芝2歳戦では最も優秀な指数での勝利となった。おそらく函館2歳Sでも有力視されることだろう。次戦に向けてどれだけ上積みがあるか注目だ。

6月23日(日) 函館5R 優勝馬 ヤンキーバローズ 指数-4 評価B
大外5番枠からゲート内で首を上げた瞬間のスタートとなり、やや出遅れたがそこから促されて2列目の外で流れに乗った。3~4角でじわっと押し上げ、4角で勢いをつけて直線序盤で先頭。内の逃げ馬がしぶとく抵抗してマッチレースとなったが、何とか押し切って1馬身差で勝利した。

このレースは3着馬には4馬身差をつけており、新馬戦としては悪くない指数での勝利。また、粗削りなレースぶりだっただけに、今後の成長次第では面白い存在となりそうだ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)エリキングの指数「-8」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.8秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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