きっかけは『あめ』欲しさ→世界で奮闘する空手日本代表 形競技の魅力は「日本舞踊のよう」

空手の形(かた)競技で活躍する日本代表の清水那月選手が、このたびラジオ番組にゲスト出演。自身の競技人生と空手の魅力について語りました。

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群馬県出身の清水選手。空手との出会いは5歳のとき。2つ年上の兄に連れられ道場に行ったことがきっかけでした。空手に興味があったわけではなく、むしろ当時は「お姫様になりたい」という正反対の夢を持っていたといいます。

ところが、道場の師範が練習後にあめを配っていたなかで「やってない子にはあめはあげられない」と言われたことで、「それならやってやろうじゃないか」と空手をはじめたそうです。

負けず嫌いで、試合で負けると大泣きしていた清水選手。次第に勝つ喜びを知り、空手にのめり込んでいきました。組手競技で全国大会に出場するほどの実力を持っていましたが、小学3年生のときに「人を殴るのも殴られるのも嫌だ」と、形競技へ転向。その後、すぐに全国大会で準優勝を果たし、その才能を開花させました。

中学に入ると空手一本に専念。中学2年のときには、マレーシアで行われた「第7回世界ジュニア&カデット21アンダー空手道選手権大会」で優勝。その後、高崎商大付高校、同志社大学へ進学し、大学在学時には「第62回全日本学生空手道選手権大会 女子個人形」や「FISU第11回世界大学空手道選手権大会女子個人形・団体形」で優勝するなど、日本を代表する選手に成長しました。

卒業後の2022年には、アゼルバイジャンの首都バクーで行われた、WKF(世界空手連盟)が主催する「KARATE1 PREMIER LEAGUE」個人形で、東京五輪銀メダリスト清水希容選手と並んで3位に輝くなど、国内外で活躍しています。

「学生時代は失敗への不安が大きかった」と振り返る清水選手ですが、国際大会などの大きな大会に出場するようになると、経験からくる自信もあり、ミスは減少。試合中は「私を見て!」という積極的な姿勢に変化したといい、現在では形を演じること自体を楽しむ境地に達していると話しました。

形競技の採点は、基本的な突きや蹴りの強さ、スピード、形の美しさで決まります。「単なる格闘技の力強さを見せるだけではなく、芸術的な美しさも魅力」だと語る清水選手は、その美しさを伝えるため、道着の着方や日本ならではの美、立ち振る舞いなどを強調しているとコメント。「まるで日本舞踊のような魅力を持っている」と形の醍醐味を表現しました。

現在は青森県競技力向上対策本部に所属する清水選手。最終的な目標は、2026年に青森で行われる国民スポーツ大会と、同年の全日本選手権での優勝です。

「勝っても負けても2026年の全日本選手権で引退する」、そう明かした清水選手にとって、この2つの大会は競技人生の締めくくりになるとのことで、そこで有終の美を飾ることを願っていました。

※ラジオ関西『アスカツ!』2024年6月22日放送回より

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