ナタリー・ポートマン&ジュリアン・ムーアの撮影を振り返る 「メイ・ディセンバー」 監督インタビュー

2024年7月12日より劇場公開される、「キャロル」のトッド・ヘインズ監督最新作で、ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーアが共演した映画「メイ・ディセンバー ゆれる真実」から、トッド・ヘインズ監督が演出の裏側を語るインタビュー映像が公開された。

事件の当事者である女性と彼女を演じる女優の、“美しくもエグみの強い心理戦”が見どころで、俳優たちの演技が要となる本作。ヘインズ監督は、それぞれの役の特徴について、ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーアと話し合い、探りながら理解を深めたという。ヘインズ監督とジュリアンの会話の中で見えてきたのは、事件の当事者・グレイシーの二面性で、「非常に強情な一面」と同時に「少女のような好奇心」を持ち合わせた役柄を、ジュリアンは甘くゆったりとした声で表現したと明かす。

本作が初のタッグとなった、ナタリー・ポートマンの演技について、ヘインズ監督は「尋常じゃないほど洞察力にすぐれている」と絶賛。その上で、ナタリー・ポートマン演じるエリザベスの劇中での役割と、観客を巻き込んでいく重要なポイントについて、「女優として外の世界から来て、当事者に話を聞くエリザベスは、観客にとって、最初は真実を追求してくれる存在だ。しかしながら、物語が進むにつれて、エリザベス自身の無知や強情さが垣間見えるようになり、観ている側は、彼女を信じていいのか、不安になってくる」と示唆している。

「メイ・ディセンバー ゆれる真実」は、1990年代に実際に起きた13歳少年と36歳女性のスキャンダルを、さまざまな角度から見つめたドラマ。36歳だった女性グレイシーは、アルバイト先で知り合った13歳の少年と情事におよび、実刑となった。少年との子供を獄中で出産し、グレイシーが刑期を終えると2人は結婚。その後夫婦は平穏な日々を送っていたが、事件の映画化が決定し、女優のエリザベスが、映画のモデルになったグレイシーとジョーを訪ねる。あの時の真相と、現在の秘められた感情。そこにある“歪み”はやがてエリザベスをも変えていく。

「エデンより彼方に」「キャロル」などで、複雑に交錯する人間模様を描き出してきたトッド・ヘインズが、ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアのオスカー女優を迎え、過去と現在、真実と憶測が混ざり合う心理戦を描き出す。次から次へと繰り出される新たな証言、”当事者”から湧き上がる意外な本心、そのすべてに意味を見いださずにはいられない”よそ者”の目。観客を“抜け出せない万華鏡”に誘う作品となっている。

【作品情報】
メイ・ディセンバー ゆれる真実
2024年7月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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