貯まる人になる!「お金のメンタル」のコントロールとは? 中道あんさん流 家計術

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人生100年時代というなら、50代はまだ半ば。忙しい毎日を過ごしているみなさんは、5年後、10年後が見えていますか? わかっていることは、のんびり隠居なんて夢物語ということ。それなら不安を抱えたままにしないで、何かできることをしたい! 今回のテーマは、トップブロガー中道あんさんが5年ぶりにボーナスをもらって考えた「お金のメンタル」について。

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私は、ひとり社長で会社を経営しており、会社員時代と同様に給料をいただいています。先日、初のボーナスが支給されました。会社員時代から数えると5年ぶりのボーナスにワクワク。さっそく、家族を誘って焼肉を食べに行きました。

たとえば、給料とボーナスが同じ金額であっても、異なるネーミングをつけることで価値が変わって感じてしまいます。給料は“生活費”なのに、ボーナスは“ご褒美”といった感じに受け取って嬉しさもひとしお。給料からの支出とは異なる扱いをしてしまいがちです。なので、普段ならよく考えていく焼肉も抵抗感なく食べに行けました。いつも注文しないちょっといい部位のお肉を食べたくなったりして。気が大きくなっている自分を感じました。

私たちは、このように知らず知らずのうちに「お金」を分類して使っているのです。7月に入るとバーゲンセールが始まりますが、みなさんも楽しみにされているんじゃないでしょうか。とはいえ、夕方、スーパーに行くと毎日バーゲンセールが行われています。

生鮮食品に貼られた「半額シール」あれも同じバーゲンセールなのですが、「半額」と書いてあるだけで、その食品の価値が半分になるというネガティブな印象を受けます。もう、定価では売れないと見切った商品なのだから、半額にしますね、という感じ。食べるには問題ないのに、どこか「今日中に食べないと不味いんじゃないだろうか?」なんてリスクを感じちゃう。

でも、デパートなどのバーゲンセールはどうでしょうか?「通常価格より50%オフ」の赤札をみると、なんだか昨日まで1万円だったものが5千円で買えちゃう!5千円も得しちゃった。値引きが強調され得をしているというポジティブな感覚に陥ります。このように「半額」と「50%オフ」は同じ意味ですが、価値の感じ方が異なる場合があります。

そして、支払い方法にも同じようなことが起きます。

現金とクレジットカードでは同じ金額を使っているのにも関わらず、心理的負担に差があります。現金で支払う場合は、同じ金額でも支出が大きく感じられますが、クレジットカードで支払う場合にはその感覚が鈍くなります。やはり物理的に財布から現金が離れると、お金を使った、支出した!と感じやすいです。一方、クレジット払いは一時的に支出が見えなくなるため、支出の痛みを感じにくくなります。つまり、同じだけお金を使っていても支払う方法が違うだけで気持ちの負担に差がでます。

専業主婦時代は浪費グセがあり、つい気やすくクレジット払いにして、後から青ざめるなんてしょっちゅう。赤字家計をボーナスで補填するという自転車操業でした。「ボーナスがあるからまぁええか」って思っていた若かりし私に言いたい。いったい何がいいんだろうか?(笑)

月々1500円のオンラインサロンに入っていたときがあります。ほんの最初だけ参加して、あとはずっと幽霊会員でした。来月こそ有効に活用しようと思うのですが、また同じことの繰り返し、あるとき、年間いくらになるのか計算すると1万8千円という現実。申し込むときに1500円ならば、まぁいいか。と思ったのですが、年払いの1万8千円の一括払いだったら、ためらっていたかもしれません。

小分けに支払う場合、月々の支出が少額に感じられるために負担が軽く感じられます。逆に一括払いは一度に大きな金額を支払うため、心理的な抵抗が大きくなります。企業はこのような人の行動心理を理解してマーケティングや価格設定、PR戦略に活用することで消費者の購買意欲を高めることができます。

つまり、ローン払いやサブスクリプションはよくよく考えてから利用しなければいけないお金の払い方なのです。

「木を見て森を見ず」ということわざは、小さいことに心を奪われて、全体を見通さないことのたとえですが、私たちは個々のお金の使い方を分けて考える傾向にあります。1つ1つは消費の理由に納得して使っているのですが、家計全体に対してどうだったのかという視点は意外に低いのです。なので、定期的に家計全体を確認すること。全体の収入、支出、貯蓄、投資を見直し財務状況を把握することが大事です。そして全体の予算を設定しバランスをとることです。

わが家でも毎月一度財務状況を確認するようになってから、無意識の無駄使いが減りました。やはり、お金の出入りの記録をつけることで客観的に見る目を持つようになります。また、数字を見る習慣をつけることで、数字に強くなってもいきます。そうすると、流されるようにお金を使わなくなり、ちょっと考えるようになります。だんだん感情のコントールができるようになり、衝動買いなどが抑えられるようになります。

さて、私のボーナスですが、いまのところ焼肉を食べにいったくらいで使っておりません。
このままでいくと、投資に回りそうなのですが、欲しいものがない……。というのは歳を重ねたおかげで精神的に成熟してきたからではないかと思います。「お金」を使わなくても、喜びを感じたり、豊かさを感じるアンテナが育った証拠ですね。


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