最高の仲間と奏でる“夢” 全国27回出場の強豪・伊予高校吹奏楽部『全日本吹奏楽コンクール』への道【愛媛発】

愛媛・松前町にある伊予高校吹奏楽部は76人が所属し、文化部の中でも最大の部員数を誇る。全国大会へ向けた練習では、より良い「音」を求めて仲間とともに楽器と向き合い続ける生徒たちの姿が見られた。

伊予高校吹奏楽部の挑戦

愛媛松前町にある伊予高校吹奏楽部は、創部41年で27回も全国大会に出場している強豪校だ。

部員数は76人を誇る文化部の中でも最大の大所帯で、部員は「一番迫力があって胸にぐっときた感じがして、伊予高校に行きたいと思いました」と入学理由を語った。

“吹奏楽の甲子園”ともいわれる『全日本吹奏楽コンクール』。この大会に出場するためには、愛媛県大会で6位以内に入り、さらに四国大会で上位2校に入らなければならない。

「この吹部に入ったら、全国いけるなと思ってここに来ました」と話す生徒もいた。

表情にも気を配り磨く“表現力”

「コンクールで最高賞でもある金賞をとりたい」と願う彼らの演奏の礎には、“聴く人の心に響かせる音楽”がある。

午前9時からの練習では、楽器を持たず“音”そのものと向き合うことから始まる。チューバのパートリーダーで3年生の曽我部豊さんが率先して声をかけ、部員たちは自分自身で音を発して体感するトレーニングを行う。これは、より音に対する感覚を研ぎ澄ますことにつながるのだという。

ブレスのトレーニングでは、楽器に入る息の量をコントロールする。腹式呼吸を繰り返し、だんだん顔が曇っていく生徒たちに、曽我部さんが「顔が疲れてきよるよ。キラキラおめめよ。がんばって~」と明るく呼びかけた。

発声しながらリレーすることでテンポ感をつかむ“返事リレー”、音を自分の声で出すことで表現力を身に着けるための“発声”と、楽器を持たず“音”そのものと向き合う練習が続く。

練習では、音だけではなく表情にも気を配る。「もう少し明るい表情を作って歌うように」「ちゃんと眉毛あげて」など、3年生が部員に声をかけた。

ここまで1時間30分の練習について、伊予高校吹奏楽部顧問の池田努先生は、「自分が音を歌ってみたり感じてみたりして、それが楽器の音にできるだけイコールで反映していけるように」という狙いで指導を行っているという。

伝統が大きな力に!「魂を入れて」

7月に迫った『全日本吹奏楽コンクール』の愛媛県大会に向けて、池田先生の指導にも熱が入る。

「今、音はたどれたとしても、全然魂はないので、魂を入れておいてください」と楽譜どおりの演奏から、その先を見据えた指導も見られる。生徒たちは指導を受けると必死にくらいつき、より良い“音”を奏でようと励む。

池田先生もかつて伊予高校吹奏楽部の部員として全国を目指し、夢をかなえた1人だ。今は顧問として生徒たちと一緒に全国出場を目指す。

「先輩方から受け継がれていく脈々とした伝統という力が、1つの大きな力になっている」と池田先生は語る。

「青春そのもの」最高の仲間と音楽

練習中は集中している彼らも、休憩時間には真剣な表情とは一転して、キラキラとした高校生らしい表情を見せてくれる。

そんな生徒たちにカメラを渡し、部員同士ならではの距離感で「伊予高校吹奏楽部とは?」と尋ねてもらったところ「青春そのもの」「青春ができる部活」「最高の仲間と最高の音楽を奏でる」と一様に目を輝かせながら答えた。

正解のない音楽という表現の舞台で目指す全国大会。その道のりを支える、みんなの力の源は何だろうか。

部長の武智心さんは「やっぱり近くに励ましてくれる仲間、池田先生だったり、困った時でも近くに安心できる仲間がいるところだ」と語り、2年生で打楽器担当の生徒は「大変だなと思うこともあるが、大変の中にもやっぱり楽しいという思いがいっぱいある」と明るく話す。

伊予高校吹奏楽部の生徒たちは、何度でも挑戦し楽器と向き合い続ける。

(テレビ愛媛)

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