可愛らしくても環境を侵食…増加中の外来生物“アライグマ”に研究者が警鐘「生態系の被害多くなっていく」

全国で外来生物の目撃情報や被害が拡大していて、富山県内でも、先日富山市の水田で北米原産の淡水魚、「アリゲーターガー」が捕獲されました。
このアリゲーターガーは、先月、高岡市古城公園の堀でも確認され、近くに住む人が撮影した写真にはぶくぶくと泡を出して浮かび上がる様子が収められ私たちの身近な場所にも外来生物の目撃情報が増えています。
自然環境や地域特有の希少生物への影響が心配される中、富山大学では特定外来生物の調査研究が行われています。
懸念されているのは一見、可愛らしいあの動物でした。

*富山大学理学部 山崎裕治准教授
「あー、これもそうですね。傷が結構ついている。傷の出来方で判断しますが、多いのはアライグマかハクビシン。傷の典型的なものとしてアライグマは5本指の爪痕が付く。1、2、3、4、5」

富山大学理学部の山崎裕治准教授の研究室では、アライグマの生息地域を把握するため県内全市町村で痕跡調査を続けています。

アライグマは、北米から中米にかけて分布する雑食性の中型動物です。
県内では、1999年には高岡市伏木地区で県の鳥獣保護員による捕獲があったとされています。

山崎准教授の研究室では、アライグマは特に水辺を利用する希少種の捕食などの生態学的問題や農林水産被害などの社会的問題があり、県内でも急激に増え続けているとしています。

*富山大学理学部 山崎裕治准教授
「アライグマという名の通りではないが 水辺の生き物をよく捕食する。例えばザリガニ、県外ではサンショウウオが多く食べられているという報告がある。今の状態で何も手を打たないと、アライグマがどんどん繁殖して数が増えていくので(生態系の)被害も多くなっていくということが危惧される」

この日の調査は、氷見市の十二町潟一帯でアライグマの痕跡を探します。
かつて、一帯が湖だったこの地区は、自然を生かした水郷公園として整備され、市民の憩いの場となっています。

そんな、地域の環境を侵食するアライグマ。
周辺には様々な動物のフンや爪痕を見つけることができます。

山崎准教授の研究室では、その場所のGPSを記録しアライグマの痕跡が確認された県内全域のマップを作っています。

*富山大学理学部 山崎裕治准教授
「背景にある赤色のメッシュの色が濃さがアライグマの出現率。過去にはいなかった所でアライグマが出現した所も幾つか見られる。減る要素が今のところ無い。今後、数が増えていって、県内でも、どんんどん生息場所と個体数も増えていると予測される」

山崎准教授によりますと、県内でのアライグマの生息数は分からないということでしたが、県は、今年度からアライグマを含む特定外来生物のリスト作成にとりかかり生息域や被害状況などをまとめたいとしています。

© 富山テレビ