【鹿児島県知事選】投票率の低下傾向に歯止めは?

現職と新人2人による三つどもえの争いとなっている今月7日投開票の県知事選挙。

近年、低下傾向がみられる投票率について、専門家の見解を交えながら、あるべき姿を考えます。

政治学が専門の鹿児島大学・平井一臣名誉教授
「もうこの30年ぐらいずっと各種選挙で投票率が下がっていて、知事選も例外ではない」

こう話すのは、政治学が専門の鹿児島大学の平井一臣名誉教授です。

過去の知事選の投票率の推移です。

1975年、昭和50年に約80%を記録して以降、近年は低い水準で推移し、当時の現職、元職、新人の計7人が立候補した4年前の前回も、投票率は5割を切っています。

候補者数や争点、当日の天候など、投票率低下の要因として様々な理由が考えられますが、当事者は投票に行かない理由について、どのように答えているのでしょうか。

県の選挙管理委員会が2024年4月の県議選後に実施した意識調査では、特に投票率が低かった若年層で投票に行かなかった人に理由を聞いています。

「用事があった」「投票したい人・政党がなかった」「興味がなかった」などが上位を占めています。

政治学専門 鹿児島大学・平井一臣名誉教授
「誰がやっても同じとか、自分が行かなくても大勢には影響がない、こういう理由が大きい」

その一方で、広がりを見せている要素もあります。

期日前投票です。

前回の知事選は投票した人の35%余り、実に3人に1人が期日前投票を利用していました。

投票日以外でも投票できること、そして身近な場所で投票ができる手軽さから利用者は増えています。

たとえば、今回の知事選では、鹿児島市選管としては初めて、18歳になり選挙権を手にしたばかりの高校生のために、市立高校3校に期日前投票所を設置しました。

若者の選挙への意識を高めることが狙いです。

投票した生徒
「若い人たちの意見が大事。今後も選挙があったら行きたい」
「一票で変わることがある。これからも選挙に行きたい」

鹿児島商業高校 堀之内尚郎校長
「自分の意見を反映するのは選挙しかない。そういう機会を大事にしてもらって、これから社会人になって選挙には必ず行く姿勢を身につけてほしい」

また、交通手段などが限られている、過疎地に暮らす高齢者などの投票の機会を確保しようと、バスなどで地域を巡回する移動期日前投票所を設ける自治体も増え、今回の知事選では実に128カ所の移動期日前投票所が設けられています。

投票した有権者
「近くに高齢者の方がいるので助かると思う。隣の高齢者を連れてきた」
「近くて便利。助かります」

こうして投票しやすい環境は整ってきているにもかかわらず、なぜ全体の投票率は低い状況が続くのでしょうか。

平井名誉教授は投票率を上げるためには、制度の手当だけでは限界があると指摘します。

「明確な争点があって、争点を巡って論戦があり、有権者がその争点に対して大きな関心を持っている。そういう状況が作り出されれば投票率は上がる」

候補者同士の争点をめぐる論戦。

それに有権者が関心を持つかどうか。

投票率を左右するのは、そういった部分にあるのではないかと平井名誉教授は分析しています。

では実際に若年層の有権者は、今回の知事選をどう捉えているのでしょうか。

有権者
「一人一票は少ないかもしれないが、どう反映されるか大事。私は投票に行きたい」
「たった一票とはいえ自分たちが住んでいる街を考えるきっかけになる。子育てしやすい県にしてくれる人に投票したい」

鹿児島の未来を見据え、自分の一票を誰に託すのか。

知事選の投票日は7月7日です。

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