夏の注目選手紹介【投手編】

大型の投手が揃った夏

今年の静岡県は各地に好投手がひしめく。まずは右投手から紹介していきたい。
最注目は身長198センチ体重110キロの超大型右腕・小船翼(知徳)。この春、2015年に小澤怜史(現ヤクルト)がマークした県内最速の152キロに並んだ。捕手のミットに向けて唸りを上げ、打者はストレートと分かっていても振り遅れる。「夏は158キロを出したい」と意気込む剛腕から目を離せない。

小船と同じく寺田光(磐田東)もプロのスカウトから熱視線を浴びる逸材。重量感のある最速145キロのストレートに多彩な変化球を絡ませ、打者に的を絞らせない。春の地区予選では常葉大菊川相手に完封。ゲームメーク能力の高さが目を引く。

身長190センチの長身右腕・伊波龍之介(浜松開誠館)はスケール感が満載。高いリリースポイントから最速143キロのストレートで押し込む。春の大会で多くの経験を積んだことで完成度も上がって夏を迎える。
今年になって一気に伸びたのが木下瑞貴(常葉大橘)。上半身と下半身が連動したバランス感覚に優れたフォームを身につけ、春の県大会では最速となる143キロを叩き出した。
沼津東の近藤秀太(沼津東)も見逃せない本格派右腕。天性の肩関節の柔らかさを持ち、腕のしなりをきかせたダイナミックなフォームが印象的。今春は球速を140キロに乗せてきた。
静岡のエース・谷脇健心はコーナーに投げ分ける制球力が光る。最後は決め球のフォークで空振りを奪う。
2年生で名前が挙がるのが小川秋月(日大三島)。「東都京葉ボーイズ」時代はジャイアンツカップで準優勝した実績を持ち、高校入学後も順調に伸びている。来年のドラフト候補に挙がる可能性がある。
同じく2年生の山田晃太郎(加藤学園)も楽しみ。140キロに迫るストレートとキレのあるスライダーで打者を仕留める。

ブレーク期待の左腕

左腕では松井隆聖(浜松開誠館)が頭一つ抜けた存在。球威のあるストレートに、同じ腕の振りからの変化球が冴え渡る。コントロールとキレは全国クラス。「あとは出力を上げるだけ」というプロのスカウトの声もある。

球威なら村松幸河(浜松工)も負けていない。昨年の不調を乗り越えて、ストレートの強さに磨きがかかっている。
千葉颯介(沼津商)は赤丸急上昇中の馬力型左腕。130キロ台中盤から後半のストレートで内角を攻め込む強気の投球が身上だ。昨秋は加藤学園に4回11失点も、この春は同じ相手に3失点完投と進化した姿を見せ、その後の市立沼津との練習試合ではノーヒットノーランを達成した。
本来は右利きも中学から左投げに転向して、今は140キロをマークする稲葉海央(星陵)や回転の良いストレートを投げる石川幹太(沼津城北)もこの夏にブレークが期待される投手だ。

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著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2~3回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(
http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/
) でも県内の野球情報を発信する。
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