「ため池」決壊の恐れで避難指示 笠岡市発令、西日本豪雨以降で初

大雨で決壊の恐れがあるとされた藤曲池。笠岡市が周辺地域に避難指示を出し、ポンプでの排水作業を続けた=2日午後1時3分、笠岡市西大島

 岡山県内で降った大雨で、農業用ため池が決壊する恐れがあるとして、笠岡市が1日から2日にかけ、市内の一部地域に避難指示を出した。県によると、県内で「ため池」を巡る避難指示の発令は2018年の西日本豪雨以降で初めて。

 避難指示が出されたのは笠岡市西大島にある「藤曲池」周辺の20世帯40人。市によると、1日午後3時15分ごろ、住民から「堤防に穴が開き、水が噴き出している」と通報があり、職員が漏水を確認。午後7時に避難指示を発令し、2日午後4時に解除した。実際に避難したのは1人で、住宅などへの被害は確認されていない。

 藤曲池は、決壊すると人的被害の可能性がある防災重点ため池で、県が普及を進める「ため池監視システム」は未設置だった。市農政水産課は「市内にはため池が多く、現時点でシステムの導入は考えていない。まずは水位を下げて貯水量を減らす『低水管理』を徹底したい」としている。

© 株式会社山陽新聞社