Jリーグ秋春制、青森県内でキャンプの可能性も 野々村チェアマンが展望語る

「季節を問わずサッカーができる環境を整備しないといけない」と語る野々村チェアマン=2日、青森市の東奥日報社

 サッカーJリーグの野々村芳和チェアマン(52)は2日、青森市で東奥日報の取材に応じた。開幕時期を現行の2月から8月とする「秋春制」への移行によって生まれる夏場のシーズンオフについて「冷涼な青森県をはじめ東北地方でキャンプをするクラブが出てきても不思議ではない」と語った。ただ、「トレーニング環境がどの程度整備されているかが重要。(青森県のサッカークラブが)地域と一緒にいかにその環境をつくっていくかが、キャンプ地に選ばれる鍵だ」と強調した。

 現在のリーグ開催期間は2~12月。2026年に導入される秋春制では8月に開幕し、翌年5月に閉幕する。各クラブはシーズンオフとなる夏場と、新設されるウインターブレーク(冬季中断期間)の期間中の計2回、キャンプを実施することになる。

 元Jリーガーで、現役引退後にJ1札幌の社長を務めた野々村氏はこれまでの経験も踏まえ、キャンプ地について「トレーニング環境、宿泊施設、ピッチの数によって決まる」と説明した。

 Jリーグは、豪雪地域のクラブが季節を問わずにスポーツができる施設を整備する場合、一定額を支援することを公表している。野々村氏は「補助額はまだ決まっていないが、7~8割は補填(ほてん)したい」と語った。「クラブのためというより地域の人たちのため。青森などは雪でサッカーができない期間が長い。その環境を変えたい」と意欲を見せた。

 ラインメール青森が参戦している日本フットボールリーグ(JFL)にも言及。今季から「ホーム戦の平均観客数2千人」がJ3への昇格条件に加わった点に関し「クラブの成長は売り上げの伸び。売り上げを伸ばすには入場料収入をどう確保するか。集客が期待できる試合を狙い、しっかり数字を出す(観客を集める)ことはクラブを運営、経営する上で絶対必要な要素」と指摘した。「それができないならまだJリーグで活動する力がないということ」と話した。

 野々村氏は同日、Jリーグ幹部らと共に青森市の東奥日報社を訪れ、釆田正之社長、菊地幹編集局長と懇談した。

 ◇

 Jリーグ秋春制 Jリーグを世界と戦う舞台とするため、昨年12月の理事会で決定した。▽酷暑下の試合数を減らし、試合の質を向上させる▽欧州主要リーグと開催時期を合わせ、選手の海外移籍を活発化する-などの利点がある。12月から翌年2月中旬まで冬季中断期間を設けるが、青森県など寒冷地のクラブにとっては2月下旬以降も降雪期は続くため、敵地での連戦が避けられず、練習場確保も難しいなどの懸念がある。

© 株式会社東奥日報社