「泣きそうでした」ソフトバンク山川穂高、131打席、31試合ぶりの一発 もがいた6月「非常に苦しかった」

場内を1周しファンとタッチを交わす山川(撮影・冨永豊)

◆ソフトバンク3―2西武(2日、東京ドーム)

久々のアーチに目を潤ませた。2点リードの6回、山川穂高が左中間スタンドへ13号ソロ。白一色に染まった東京ドームのファンと「どすこい」コールで沸いた。今回と同じく「白のキセキ」と銘打たれた5月22日楽天戦(京セラドーム大阪)以来、131打席、31試合ぶりの一発。「泣きそうでした」と安堵(あんど)感が広がった。

西武から移籍した今季、5月まで12発で本塁打王争いを独走。ところが6月は1本も打てず、月間打率1割8分2厘と、もがいた。「数字的なものはもちろん、感覚が良くないのが非常に苦しかった」。この日の試合前には西武時代に師事した通算478本塁打の中村剛也に相談した。

具体的な技術論は明かさなかったが、6回の打席は「最近差し込まれていたので、感覚より前で振ろうと思った」。西武・佐藤隼輔が投じた150キロの直球に振り遅れなかった一撃に、NPB歴代最多868本塁打の王貞治球団会長は「ああいうのを乗り越えれば、今までより一段上へ行く」とさらなる成長を期待した。

主砲が足踏みしてきた間もチームの勢いは止まらず、シーズンの半分を折り返したこの日、貯金は最多の29に増えた。山川は「チャンスで打てずに仕事ができないまま試合が終わると責任を感じるけど、本当に助かりました」と感謝する。お立ち台ではファンに「6月はすみませんでした。これから頑張りたい」と約束。復調のきっかけをつかんだ主砲が優勝と本塁打王への軌跡を残していく。(末継智章)

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