米求人件数、5月は814万件に増加 解雇件数も増

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日に発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が22万1000件増の814万件と、過去2カ月の大幅な減少から増加に転じた。一方、経済活動の減速を背景に解雇件数は増加した。

ロイターがまとめた求人件数のエコノミスト予想は791万件だった。

4月分は805万9000件から791万9000件に下方改定された。求人件数は22年3月に1218万2000件でピークを付けた。

5月の失業者1人当たりの求人件数は1.22件と4月から変わらず、2021年以来の最低水準となった。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「データは労働力の需給の正常化が進んでいることを示している」と指摘。「政策の観点から言えば、連邦準備理事会(FRB)の今後の課題は、インフレを抑制するだけでなく労働市場への不必要なダメージを防ぐ水準に金利を維持することだ」と述べた。

業種別の求人件数は、州・地方政府(教育を除く)が11万7000件増。耐久財製造業では9万7000件、連邦政府では3万7000件それぞれ増加した。一方、宿泊・飲食サービスでは14万7000件減少。民間教育サービス業では3万4000件減少した。

企業規模別の求人件数は、従業員数が1─9人の企業で11万9000件減、従業員数が10─49人の企業で8万7000件増となった。中規模、大規模の企業でも増加した。

地域別では南部で減少した一方、中西部、北東部、西部で増加した。

求人率は4月の4.8%から4.9%に上昇した。

採用件数は14万1000件増の575万6000件。専門・ビジネスサービスや建設が伸びた。ただ、小売や宿泊・飲食サービス、製造業では減少した。採用率は4月の3.5%から3.6%に上昇した。

5月のレイオフ・解雇件数は11万2000件増の165万4000件だった。レイオフ・解雇率は1.0%と3カ月連続で横ばいだっった。

レイオフ・解雇件数は主に従業員が1─9人および250─999人の企業で増加。地域別では南部に集中していた。

自発的な離職件数は345万9000件とほぼ横ばい。労働市場に対する信頼感の目安となる自発的な離職率は2.2%と4カ月連続で横ばいだった。

労働市場が徐々に均衡を取り戻し、インフレが沈静化していることから、連邦準備理事会(FRB)による緩和サイクルの開始時期が近づいているとの観測が高まっており、金融市場ではFRBは9月に利下げに着手するとの見方が出ている。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当リードエコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は「労働市場は今のところ十分健全であり、FRBは利下げ前にインフレが2%への軌道に戻ったことを裏付けるさらなるデータを待つことができる」と述べた。

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