渋沢栄一の揮毫公開 射水神社、新紙幣発行に合わせ 高岡共立銀の新築後押し

渋沢栄一が揮毫した社号の額=高岡市の射水神社

  ●大正期、遷座50年で奉納

 20年ぶりに新紙幣が3日に発行されるのを前に、高岡市の射水神社は2日、新1万円札の肖像画に採用された実業家の渋沢栄一が揮毫(きごう)した社号額の公開を始めた。渋沢は当時の神社関係者と親交があり、1924(大正13)年の遷座50年祭に合わせ書を奉納した。拝殿で21日まで公開し、高岡とのつながりを伝える。

 社号が書かれた書は縦36センチ、横80センチ。社宝として通常は貴賓室に掲げられ、限られた人しか目にすることができなかった。

 第一国立銀行(現・みずほ銀行)を設立した渋沢は明治期、高岡共立銀行(現北陸銀行)の本店新築を後押しした。

 射水神社によると、高岡共立銀行の本店建設の発起人の一人で、高岡市長と神社奉賛会長を務めた木津太郎平は渋沢と交流があった。高野義太郎宮司、県知事で奉賛会総裁の伊東喜八郎とも親交があり、揮毫の依頼を受けたとみられる。

 拝殿には社号額と合わせ、来年の遷座150年に向けて奉納された花の形をした鏡「流水紋八稜鏡(りゅうすいもんはちりょうきょう)」の鋳型も展示する。鏡の裏面には遷座50年時に渋沢がしたためた冊子「国幣中社(こくへいちゅうしゃ)射水神社志」の題字があしらわれている。

 田中天美(たかみつ)権禰宜(ごんねぎ)は「高岡と渋沢とのつながりを感じてほしい」と話した。

渋沢栄一

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