【なでしこジャパン|スペイン戦の推奨スタメン】ボランチは長谷川唯と長野風花で清水梨紗に何かあったら...。後半に起用したいジョーカーは?

7月開幕のパリ五輪に臨むなでしこジャパンは、現地時間の7月25日にスペイン、同28日にブラジル、同31日にはナイジェリアとグループリーグを戦う。チームを率いる池田太監督は「金メダルを目指す」と目標をそう話しているが、果たして、優勝を目指すうえでのベスト布陣とは? 識者の河治良幸氏に答えてもらった。

まず押さえておきたいのはパリ五輪の登録メンバー18人の顔ぶれだ。名前を挙げると、GKは山下杏也加(INAC神戸)と平尾知佳(新潟L)。DFは熊谷紗希(ローマ)、清水梨紗(ウェストハム)、北川ひかる(INAC神戸)、南萌華(ローマ)、高橋はな(浦和L)、古賀塔子(フェイエノールト)。MFは清家貴子(浦和L)、長谷川唯(マンチェスター・C)、林穂之香(ウェストハム)、長野風花(リバプール)、宮澤ひなた(マンチェスター・U)、藤野あおば(ベレーザ)、谷川萌々子(ローゼンゴード)で、FWは田中美南(INAC神戸)、植木理子(ウェストハム)、浜野まいか(チェルシー)である。

選出メンバーについて「ノーサプライズ」との見方をした河治氏は「スペインとのグループリーグ初戦を想定して」という考えの基でベストスタメンをセレクトしてくれた。システムは昨年の女子ワールドカップから「アップデートされてきた」3-4-2-1。もっとも、今のなでしこジャパンは局面に応じて4バックに移行する柔軟性もあり、基本システムがこれというのはないが、ここではあえて3バックの布陣にしてみた。

GKは不動の守護神である山下で決まり。スペイン戦で守備面を考えるとフィールドプレーヤーでフォーカスしたいのは「1対1の強さ」で、河治さんは「古賀選手をどこかで使いたい」と強調していた。本来は3バックの一角がメインになるはずの古賀を、河治氏は左ウイングバックに配置。結果、3バックは右から高橋、熊谷、南になった。

昨年の女子ワールドカップでスペインを4-0で撃破した試合のように、5バック気味で守りつつ、カウンターを仕掛ける。その戦略なら、守備力が北川よりも高く展開力もある古賀を左ウイングバックに置いたほうがチームは上手く戦えると、河治氏はそう考えているのだ。

右ウイングバックは「なんでもできる清水選手」という河治氏は、ボランチコンビに長谷川と長野を選んだ。

「大会の軸というところでは長谷川選手と長野選手をスタメンに起用して、勝負どころで谷川選手を使う」

攻撃センスに優れ、プレースキッカーとしても優秀な谷川は“ジョーカー”と河治氏は言い切る。

【記事】「大谷さんとか入ってないの?」内田篤人、スポーツ選手の“長者番付”トップ10の顔ぶれに驚き!「サッカー、夢あるじゃん」

2シャドーで悩むのは、昨季のWEリーグでMVP &得点王をダブル受賞した清家の起用法だろう。昨年の女子ワールドカップからシャドーの軸は藤野と宮澤で、清家は3、4番手の位置付けだが、クラブシーンでの活躍を見るとベンチに置いておくのはもったいない。さらに言えば、このポジションには先のニュージーランド戦で2ゴールを決めた浜野もいて、人材豊富。そんな現状を踏まえて河治氏は誰をピックアップしたのか。

「浜野選手は谷川選手と同じくジョーカー。清家選手は攻撃力だけなら、現在のなでしこジャパンでナンバーワンだと思います。ただ、スペインを相手にどうパワーをかけていくかを考えると、基本は藤野選手と宮澤選手なのかなと。守備のオーガナイズを踏まえてもこのコンビですかね」

河治氏の考えでは、「よりオープンな展開になりそうな後半に清家選手や浜野選手を使いたい」となる。これはこれでひとつの考え方だ。

「万が一、清水選手に何かしらアクシデントがあった場合、清家選手に右ウイングバックを任せたいので、その意味でも彼女をベンチに置いておきたい」

CFは「田中選手と植木選手で1セット」と河治氏は主張する。

「どっちが先発でも不思議はなくて、90分トータルでふたりに仕事をしてもらう。スペイン戦は経験豊富な田中選手をスタメンで使って、途中から植木選手を投入する。で、次の試合は植木選手が先発でという感じになると思います」

どうしても点が欲しいシチュエーションでは「清家選手をフォワードとして送り込んで、2トップにする」手もある。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

© 日本スポーツ企画出版社