【現地記者が選ぶプレミア歴代ベスト11(2)】恐怖の3トップに“黄金世代”の最終ライン! 「GKの定義を書き換えた」現役選手とは?

1992年に創設され、いまや欧州トップリーグの地位を確立しているプレミアリーグ。多くのトッププレーヤーが活躍してきたこの32年の歴史のなかで、最高の11人を選ぶなら誰か。5人の英国人記者に歴代ベストイレブンを選出してもらった。第2回はジャック・ロッサー記者だ。

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アリソン・ベッカーはGKというポジションの定義を書き換えた、エポックメーキングな存在だ。卓越した足技を駆使して、最後尾から組み立てを担うモダンなGKの理想形を確立したと言えるだろう。もちろん、ショットストップもハイクオリティーで、必要とあればゴールも奪ってみせる。

最終ラインは、1990年代後半から2000年代にかけて一世を風靡した名手を並べた。右からガリー・ネビル、リオ・ファーディナンド、ジョン・テリー、アシュリー・コールは、同時期にイングランド代表でも4バックを組んだ、いわゆる「ゴールデン・ジェネレーション」だ。

ネビルはもっとも洗練されたSBではなかったかもしれないが、アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドで培った勝者のメンタリティー、生まれ持ってのリーダーシップが傑出していた。

反対サイドのコールは、運動量、敏捷性、テクニック、戦術眼、1対1守備、攻撃センスとすべてを兼ね備えた、イングランド史上最強の左SBと言えるだろう。

リオとテリーのCBコンビは、エレガントなリオとファイターのテリーと補完性も抜群の理想のパートナーシップだ。

イングランド代表が固めるこの最終ラインをプロテクトするアンカーはパトリック・ヴィエラ以外に考えられない。強靭なフィジカルに繊細なスキルを併せ持ち、中盤からゲームを文字通り支配したフランスの巨頭は、同胞のアーセン・ヴェンゲル率いるアーセナルの絶対的な主軸としてシーズン無敗優勝という偉業を達成している。

その一列前で攻撃を担うのが、フランク・ランパードとケビン・デ・ブライネだ。ダイナミックな8番として鳴らしたランパードは強力なミドルシュートで重要なゴールを重ね、プレミアリーグ通算177ゴールは歴代6位、MFとしては断トツの1位だ。

ランパードのようなインテンシティーや決定力に、さらにドリブルやラストパスによる局面打開力を兼ね備えているのがデ・ブライネで、現代的な攻撃的MFのひとつの完成形と言えるだろう。

前線は、通算260ゴールという歴代最多記録が燦然と輝くアラン・シアラー、アーセナルのインビンシブルズの象徴だったティエリ・アンリ、そして電光石火のドリブルで敵を切り裂いたクリスティアーノ・ロナウドが並ぶ恐怖の3トップだ。

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ベストの監督はアレックス・ファーガソンで決まりだ。説明の必要も、議論の余地もないだろう。プレミアリーグ優勝13回はもちろん歴代最多で、マンチェスター・ユナイテッドを絶対的な王者へと導いたその手腕に並ぶ者はない。20年以上に渡って圧倒的に勝ち続けたファーガソンのユナイテッドは、アンチにとってはそれこそ悪夢のような存在だった。2013年の勇退から10年、ユナイテッドが優勝どころか優勝争いにすら加われない暗黒の日々を過ごしているその事実が、ファーガソンの偉大さを雄弁に物語っている。

◎ロッサー氏が選出した2ndイレブン
GK:ペーター・シュマイケル(マンチェスター・Uなど)
DF:デニス・アーウィン(マンチェスター・Cなど)
DF:ヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・C)
DF:トニー・アダムス(アーセナル)
DF:パトリス・エブラ(マンチェスター・Uなど)
MF:ロイ・キーン(マンチェスター・Uなど)
MF:スティーブン・ジェラード(リバプール)
MF:モハメド・サラー(リバプールなど)
MF:ライアン・ギグス(マンチェスター・U)
MF:エリック・カントナ(マンチェスター・Uなど)
FW:セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・C)

■ジャック・ロッサー
『サン』紙のフットボール記者で、ロンドンを拠点に精力的な取材活動を続ける。『ロンドン・イブニング・スタンダード』紙で記者生活を始め、首都ロンドンのクラブにイングランド代表を担当。2022年から現職。

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