【棒グラフ】公務員の83.3%が「定年退職後も働きたい」と回答
![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1180972500149469653/origin_1.jpg)
公務員と聞くと「給与が安定している職業」とイメージする方も多いのではないでしょうか。2024年6月28日に支給された夏季ボーナスは国家公務員の一般行政職で平均65万9500円となっており、高い印象を持つ方も多いでしょう。
ボーナスだけでなく退職金も多く受け取れることから、「公務員であれば老後も安泰」と思ってしまいますが、実は人事院による最新の統計では国家公務員の83.3%が「定年退職後も働きたい」と回答しています。
その理由として、8割以上の人が「日々の生計維持のために必要」と回答しており、国家公務員であっても、生活に十分なゆとりがないことがうかがえます。
では、国家公務員として定年まで勤めた場合、退職金はどのくらい受け取れるのでしょうか。
本記事では、国家公務員の定年時の退職金の平均額と、定年後の収支事情について紹介していきます。
記事の後半では、国家公務員の退職後の生活苦についてもデータをもとに紹介しているので、あわせて参考にしてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
国家公務員の定年時の退職金はいくら?
まずは、国家公務員の定年時の退職金から確認していきましょう。
内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況」によると、定年時の国家公務員の退職金は下記のとおりです。
![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1180972489789702981/origin_1.jpg)
常勤職員の退職金
- 受給者数:1万4283人
- 支給額:2112万2000円
うち行政職俸給表(一)適用者の退職金
- 受給者数:4086人
- 平均支給額:2111万4000円
常勤職員、うち行政職俸給表(一)適用者ともに、定年時の退職金の平均額は2000万円以上となっています。
上記はあくまで平均額であり、勤続年数によって定年時の退職金は変動しますが、30年以上国家公務員として勤続していれば、定年時に2000万円以上の退職金を受け取れる可能性が高いとうかがえます。
退職金があれば安泰?
退職金として2000万円以上も受け取ることができれば、生活も安泰と思ってしまいますが、人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年退職をした国家公務員の約8割が「定年退職後も働きたい」と考えています。
また、働きたいと思った理由として、8割以上が「日々の生計維持のために必要」と回答しており、最も高い割合を占めています。
定年時の退職金として、2000万円以上も受け取れる国家公務員ですが、なぜ生活にゆとりがないと感じているのでしょうか。
次章では、定年退職後の国家公務員の収支について見ていきましょう。
定年後の国家公務員の収支は?
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年退職した国家公務員のいる世帯の1か月当たりの平均的な収入及び支出の状況は下記の結果となりました。
![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1180972492777668842/origin_1.jpg)
平均収入月額は全体で37万円、平均支出月額は全体で34万9000円となっています。
定年後の就労状況別で世帯の収入と支出の状況をみると、定年後も働いている世帯では平均収入月額が39万8000円、平均支出月額が35万7000円です。
一方で、定年後は就労していない世帯では、平均収入月額が19万2000円、平均支出月額が29万円となっており、年金を主とした収入だけでは不足している現状がみてとれます。
上記からもわかるように、定年後就労しない場合は、年金が収入源の柱となりますが、年金だけでは約10万円の赤字になっています。
定年時の退職金として2000万円を受け取っても、毎月10万円の赤字がある場合は、退職金2000万円は約16年でなくなってしまいます。
このことから、「年金だけでは生活していけない」「貯蓄は医療費や介護費のために残しておきたい」と考え、定年後も就労を考える国家公務員が多いのではないかとうかがえます。
世帯の家計状況は?家計がマイナスになる場合の対処法も
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、定年後の国家公務員世帯の家計状況は、就労者、非就労者の世帯ともに「ゆとりはないが、赤字でもない」が最も多くなっています。
![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1180972525216448895/origin_1.jpg)
「ゆとりがある」と回答した人は全体の1〜2割程度となっており、多くの世帯で生活苦になっている現状がみてとれます。
また、家計の状況について「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」と回答した人の赤字が出る場合の対応として、「退職手当を取り崩す」が70.5%で最も多くなりました。
次いで多かったのは「退職手当以外の預貯金等を取り崩す」が61.1%となっています。
老後生活では、生活費以外にも医療費や介護費用、家の修繕費用、葬式費用など、突然の大きな支出も発生します。
そのため、生活費の赤字補填だけに、定年時の退職金や貯蓄を取り崩すことは、厳しいものといえます。
安泰な老後生活を送るためには、老後生活では毎月いくら赤字になるかを事前にシミュレーションし、計画的に貯蓄をしておくことが大切です。
今回は国家公務員の老後生活の実態を紹介しましたが、企業によっては退職金制度がそもそもないところもあります。
ご自身の世帯状況に置き換え、一度老後生活やセカンドキャリアのシミュレーション・検討をしておけると良いでしょう。
老後について今一度考える機会を作ろう
本記事では、国家公務員の定年時の退職金の平均額と、定年後の収支事情について紹介していきました。
人事院事務総局の調査では、8割の国家公務員が「定年退職後も働きたい」と感じており、その背景には年金だけでは生活が苦しい現状があります。
「定年までにいくら貯蓄があれば安心なのか」は、世帯によって異なります。
まずは、ご自身の受け取れる年金額や退職金の目安を確認し、そのうえで不足する老後資金をシミュレーションしてみると良いでしょう。
参考資料
- 人事院事務総局「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2024年夏のボーナス見通し」