岸田首相「総裁選再選」を支持した“旧宏池会”議員はわずか…推す理由「聞く力」「決断力」の声もむなしく

岸田文雄首相

今年に入ってから、各社の世論調査で岸田文雄首相(66)率いる内閣の支持率は「発足史上最低」近辺で低空飛行を続けている。

それでも、自民党内での支持率はけっして揺るがなかったはずだが……。

「政権交代してしまう」

6月23日に公開されたインターネット番組に出演した菅義偉前首相(75)は、こうはっきりと次期衆院選への危機感を口にし、裏金事件などで「首相自身が責任を取っていなかった」と、公然と首相批判をおこなった。

そして、9月に控える自民党総裁選では、岸田首相以外の「新たなリーダー」の登場に期待するとして、事実上の退陣要求まで繰り広げたのだ。

「菅前首相は通常国会の閉会前から、萩生田光一氏(60)、加藤勝信氏(68)、武田良太氏(56)らと会合を重ね、政局的な動きを強めていました。

以前は、石破茂氏(67)を“ポスト岸田”に推すという見方もありましたが、最近は周囲に『石破は無理でしょ』と話しているんです。

月刊誌のインタビューでは『自民党には若い優秀な議員が少なからずいる』とも話していますが、岸田首相と比べてはっきりと『若い』と言えて、菅前首相に近い有力議員は、小泉進次郎氏(43)くらいしか思い浮かびませんが……」(政治部記者)

菅前首相からは見放されながらも、5度めの“挑戦”が取り沙汰される石破氏。総裁選出馬の意向を報じられたが、6月28日に一度は報道を否定した。

ほかにも出馬経験がある河野太郎氏(61)、高市早苗氏(63)らの動向に、日に日に注目度が高まっている。

「岸田首相本人は自信を持っており、総裁選の再選をまったく諦めていません。前回総裁選の“後見役”だった麻生太郎氏と仲直りを目的にした会食を重ね、今回も協力を仰ぐつもりです。

麻生氏も周囲に、首相に協力する意向を伝えています。加えて、岸田首相も密かに、若手・中堅議員を数人ずつ公邸での夕食会に呼び寄せて、支持を広げようとしています」(政治部デスク)

こうした状況下で、秋の総裁選に向けて岸田首相がいちばん頼りにしているのは、自身が派閥の領袖を務めていた旧宏池会の所属議員たちだろう。2024年1月、同会が解散を決定した時点で、衆議院議員33名、参議院議員13名が所属していた。

そこで、本誌は計46名の旧宏池会議員に対して、「岸田首相の総裁再選を支持するか?」をメインに尋ねるアンケート取材を実施した。

だが、回答を集計したところ、「再選を支持する」とはっきりと答えたのは石原宏高氏、武井俊輔氏、渡辺孝一氏、神田潤一氏のたった4名だけ。

それ以外は「回答なし」、もしくは「回答拒否」だった。「再選支持率」を計算すると、世論調査の内閣支持率よりはるかに低い約8.7%という結果。

ちなみにアンケートでは「総裁にふさわしい政治家の能力」についても尋ねたが、それに対して、岸田首相を支持する4名は「聞く力。政策実現能力」(武井氏)、「長期的な課題に信念をもってぶれずに取り組む」(石原氏)、「決断力」(渡辺氏)、「先送りできない国家の政策課題に対し、正面から取り組み、解決していく力」(神田氏)と答えている。

3年前、岸田首相が自慢していたのは「聞く力」だったが、党内の批判すら聞こえていないのか。

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