大林組/中空床版橋の架け替え工法の試験施工実施、交通規制期間を半減

大林組は6月28日、プレキャスト(PCa)セグメントを用いた中空床版橋の架け替え工法「HOLLOWAL(ホローワル)」の実物大試験施工を埼玉県内にある調達先の工場内で実施した。高速道路のリニューアル工事に関わる東日本高速道路会社や首都高速道路会社など発注者が参加し、施工手順や施工メリットを確認した。老朽化が進むコンクリート中空床版橋の更新工事で、交通規制する期間を縮めて改修できる点をアピールした。
同工法は既設のコンクリート中空床版橋を撤去後、PCaセグメントを設置し、プレストレスを導入する。すべての部材を工場で製作し、断面が完成した状態で搬入されるため、一体化するだけで速やかに橋の上部を構築できるのが特徴だ。
施工には専用の架設機を使い、すべての揚重作業が橋面上でできるため、大型クレーンやクレーン設置ヤードが不要となる。従来工法に比べ省スペースで施工でき、交通規制期間を約半分に短縮。周辺交通への影響を最小限に抑えられる。橋桁などの上部構造を既存より3割ほど軽いコンクリート部材に取り換えられる。生コンクリート打設作業の手間が減り、天候の影響も受けずに施工できる。
コンクリート中空床版橋は、高速道路をはじめ全国に数多く存在する。一方、多くの橋で老朽化が進んでおり、更新工事の必要性が高まっている。更新工事では交通規制を実施し、劣化が進んだ床版部だけコンクリートを打ち替える工法が標準的だが、既設コンクリート床版部のはつり作業に時間がかかり、コンクリート打設が天候に左右されるなど、交通規制期間が長期化するケースがあった。
同工法の実現場への導入はこれまでに実績がない。大林組は今回の見学会を通じて発注者へPRする。導入することで高速道路利用者の負担軽減とともに、建設業の課題である人手不足や24年問題への対応につなげたい考え。

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