路線価急上昇の背景にインバウンド「宿泊地」需要…浅草・雷門前は16.7%も上がった!

インバウンドに沸く東京・浅草(C)日刊ゲンダイ

国税庁が1日発表した今年1月1日時点の路線価は、全国の調査地点の平均が3年連続で上昇した。コロナ禍が収束し、国内外の旅行者が観光地に戻るなど、経済活動が活発化したためとみられる。

東京都内で最も高い伸び率だったのは、台東区浅草の雷門通りで、前年比16.7%も上昇(昨年の上昇率は7.0%)。連日多くの訪日観光客が雷門前や浅草寺に詰めかけており、全国で見ても5位の上昇率だった。

浅草が都内上昇率トップだったことについて、不動産アナリストの長谷川高氏はこう分析する。

「インバウンド需要を見込んだホテル事業者が、高額な取引で土地を購入して地価が上がったものと思われます。現在、浅草では、マンションなどを建てるよりもホテル事業の方が高い収益が見込めるため、ホテル事業者がより高い価格で土地を買ったのでしょう」

■再評価される意外な地域

都内やその近郊では、意外な上昇地点もあった。

税務署ごとの最高路線価を過去10年までさかのぼると、東京都足立区の千住地域や綾瀬地域を管轄する足立税務署が2.87倍(194万円→557万円)。千葉県市川市や浦安市を管轄する市川税務署が2.26倍(86万円→195万円)。こちらもまた、インバウンドの影響が大きい。

「ディズニーランドが近くにある浦安市周辺や、都心部からアクセスの良い足立区の千住などは、多くの訪日観光客が宿泊地として利用しています。周辺エリアでも都心へのアクセスなどが良ければ、ホテル用地としての利便性が再評価され、路線価の上昇が目立っています。それを下支えしているのが、やはり訪日観光客なのです」(長谷川氏)

飲食や観光、交通、そしてホテルも──。インバウンドが日本経済を動かしているのは間違いない。

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