君は100枚交換「とてもいえないもの」を見たか? ドラクエ名物「ちいさなメダル」その変化の歴史

ニンテンドーDS版『アルティメットヒッツ ドラゴンクエストVI 幻の大地』(スクウェア・エニックス)

つい先日、HDー2D版『ドラゴンクエスト』ロト三部作の発売が発表され、得も言われぬ懐かしさを感じた往年のドラクエファンも多いのではないだろうか。

そんな『ドラクエ』シリーズにおいて、もっとアイテム探しが楽しめる要素として実装されたのが、ファミコン版『ドラクエ4』で初登場した「ちいさなメダル」だ。ひたすら屋内のタンスを探ったり、壺を割りまくったりと、メダル集めにいそしんだ記憶がある人もいるはず。

今では、すっかりおなじみの要素となった「ちいさなメダル」だが、いったいどのような変遷をたどってきたのか、今回はその歴史を振り返ってみよう。

■シリーズを追うごとにメダルの数は増加傾向

探索して獲得できる「ちいさなメダル」の数は、シリーズを追うごとに増えている。初実装時の『ドラクエ4』では全32枚だったのが、『ドラクエ5』では48枚、『ドラクエ6』では106枚、『ドラクエ7』では119枚と、どんどん増えていき、『ドラクエ8』で初めて115枚に減少した。

とはいえ、『ドラクエ5』では低確率ながらモンスターからのドロップもあるので、がんばれば無限に手に入れることが可能だ。また『ドラクエ9』では、一定時間が経過すると中身のアイテムが復活する「青宝箱」が登場。ほかにも「大魔王の地図」を周回することで、こちらも何枚でも入手できた。

その後のシリーズでも、釣りやモンスターからのドロップにより入手可能で、努力次第で数を集められるようになっている。

■入手難易度は、メダルの数に比例しない?

シリーズを追うごとに、「ちいさなメダル」の総獲得枚数は増加傾向にあったが、メダル自体の入手難易度はまちまちだ。

入手難易度的な意味でいうと、実は初登場の『ドラクエ4』がもっとも難しいかもしれない。なぜなら「拾う」以外の入手方法がなく、効果的な探索スキルも存在しないので、地道に怪しい場所を調べるしかないからだ。また、冒険が進行すると二度と手に入らなくなる、シビアなメダルも存在した。

逆にモンスターからのドロップや、釣りによってメダルが入手可能なシリーズの入手難易度は、比較的やさしいと言えるだろう。それに『ドラクエ6』以降は「とうぞくのはな」や「レミラーマ」で場所をサーチできるようになったので、より集めやすくなっている。

とはいえ、プレステ4版『ドラクエ11』は、フィールドの構造や、街のオブジェクトが複雑になったせいで、メダル集めはかなり難しかった。ジャンプを駆使して屋根の上にあがる必要があったり、建造物の裏にひっそりと落ちていたりと発見しにくいことも……。メダル集めに骨は折れるが、探し出して集める作業自体も楽しめた作品と言えるだろう。

■歴代シリーズの注目の景品とは?

メダル集めの難易度が高かった『ドラクエ4』だが、メダルでしか入手できないアイテムは「てんばつのつえ」だけで、しかもメダル1枚で交換できる。そのほかの貴重そうな景品はモンスターが低確率でドロップすることもあって、最悪メダルで交換できなくても絶対入手できないわけではなかった。

そうはいっても比較的序盤にメダルとの交換で「てんばつのつえ」や「きせきのつるぎ」が手に入ると、かなり冒険を有利に進めることができた。

『ドラクエ5』以降も「きせきのつるぎ」は、ちいさなメダルでもらえる優秀な装備として、お世話になった人も多いのではないだろうか。

『ドラクエ6』では、「とてもいえないもの」と表記された、謎のアイテムがメダル100枚でもらえたのも印象的だ。「メタルキングヘルム」や「ドラゴンのさとり」よりも後に入手できるメダル景品ということで期待されたが、そのアイテムの正体はなんと「エッチなしたぎ」だ。

ミレーユとバーバラだけが装備できる非売品アイテムだが、残念ながら性能的にはネタ装備と言わざるを得ない……さすがは遊び心満点のメダル王である。

『ドラクエ7』では、隠しダンジョンに行くためのアイテム「ふしぎな石版?」や、モンスターパークを拡張するための「まものせいそく図」といった重要アイテムが景品になっていた。

ほかにも『ドラクエ9』では「オリハルコン」等の錬金素材、『ドラクエ10』では「スキルアップパネル」などが交換できた。このようにシリーズが進むにつれて、珍しい装備だけでなく、各作品の独自要素が強めなアイテムがメダル景品に並んでいた。

いまや『ドラクエ』シリーズでは定番となった「ちいさなメダル」だが、作品ごとに重要性や入手難易度が異なっているのも興味深い。今年11月14日に発売されるHD-2Dリメイク版『ドラクエ3』では、どのような立ち位置になるのか楽しみだ。

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