パニックになる前に…「いつ噴火してもおかしくない山」 市独自の富士山火山防止マップ作成=静岡・富士市【わたしの防災】

静岡県側の富士山の開山日まであと1週間ほどとなりましたが、もし噴火したら私たちはどうすればいいのか。静岡県富士市では、住民を対象とした富士山火山防災マップを作り、噴火への備えを呼びかけています。

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<大淵二丁目町内会長 藤田好章さん>
Q.何が備えてあるんですか?
「地震の時の対策ということで、こちらが発電機ですね」

富士市の北部、大淵にある防災倉庫です。備えられていたのは、発電機や段ボールベッドなどの地震用の対策ですが、富士山の噴火に対する備えはありません。

<大淵二丁目副会長 鈴木計守さん>
「地震をメインに考えているので、噴火は現実味がないのであまり考えていないですね」

富士山世界遺産センターです。

<県富士山世界遺産センター 小林淳教授>
「宝永噴火の時に、火口の近くで噴出したものになります」

展示されているのは、300年前の噴火の時に富士山の火口から噴出した火山弾。さらに…。

<県富士山世界遺産センター 小林淳教授>
「噴火前の地面が波を打っています。それを覆う形で白い火山礫、軽石ですね。その上に黒い火山礫、スコリアが堆積している様子がわかります。長い富士山の歴史から見たら、いつ噴火してもおかしくない山だと言えます」

もしもの時に役立ててほしい。富士市が作ったのが、市独自の富士山火山防災マップです。富士山ハザードマップの改訂版が2021年に公表されたのを受けて、避難対象エリアなどを改めました。

<富士市防災危機管理課 栗田明人さん>
「富士山が噴火した際に、溶岩流等が流下してくる場所を色分けで示しているものになります。こちらにつきましては、融雪型火山泥流が富士市内に流下してくる可能性がある範囲を示した地図になります」

この防災マップでは、溶岩流が到達する可能性のある範囲のうち、自分の町内会がどのレベルで避難対象エリアとなっているのか、また溶岩流が流れた場合、どのタイミングで避難をすることになるのか、などを確認できます。

<富士市防災危機管理課 栗田明人さん>
「第4次、第5次の避難対象エリアのみなさんにありましては、噴火後に避難を開始することになっているんですけれども、どこに避難するのかは、現時点では決められていません。どこで噴火したかによって溶岩が流れて行った方向で変わるので」

大淵地区で開かれた住民説明会には、90人近くの住民が参加しました。

<住民の男性>
「起きてからじゃないと特定できないと言われていたので、それが一番カギだよね」

町内会長の藤田さんに、マップを見てもらいました。

<大淵二丁目町内会長 藤田好章さん>
「こちらが(大淵)八王子本町です。噴火前避難の町内になります。私の方の町内は、大淵二丁目で噴火後の避難のエリアになります。噴火後に避難ということで場所が決まっていませんので、本当に噴火したらみんなパニックになると思いますね」

富士市では、この防災マップをもとに、噴火のリスクについて1人1人考えてほしいとしています。

<富士市防災危機管理課 栗田明人さん>
「誰が噴火前避難で、誰が噴火後の避難になるのかを市民の方に知っていただければ、パニックの発生は抑えられるかなと思いますので、できるだけ多くの方にマップの内容を知っていただきたい」

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