田村屋旅館、破産開始決定 沼尻温泉郷、自主再建見通し立たず

 信用調査会社の東京商工リサーチ、帝国データバンク両郡山支店によると、猪苗代町の田村屋旅館が2日までに地裁会津若松支部から破産手続き開始決定を受けた。決定は6月19日付。負債額は約4億2000万円。

 同旅館は1886年創業。沼尻温泉郷では最大規模の老舗旅館で、1995年6月期は売上高が約3億7600万円だった。しかし、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で利用客が減り、暖冬のため冬季の集客も落ち込んで2019年6月期の売り上げは約6300万円に減少した。

 新型コロナウイルス感染拡大で宿泊のキャンセルも相次ぎ、20年3月に地裁会津若松支部に民事再生法の適用を申請した。民事再生手続きの下で再建を図ったが、スポンサー企業の決定が困難となり、自主再建の見通しも立たないことから事業継続を断念した。

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