【寄稿】7月以降にやはり期待(WEB版)/POKKA吉田

5月は「パチンコ・パチスロ店営業における賞品の提供方法に関するガイドライン」の制定があった。専用賞品の提供を可能にするこのガイドラインは、専用賞品を提供するしないにかかわらずすべてのホールが遵守するべき賞品取りそろえの取り決めである。本稿執筆時点で既に専用賞品の提供を始めているホールもある一方で、ほとんどのホールは様子見のような状況にある。この辺は専用賞品の準備などで地域や問屋ごとに温度差がかなり激しいので状況は刻一刻と変化しそうな気配だ。来月、再来月とじわじわ変化し、気が付けば賞品提供のあり様が大きく変わる可能性もある。そのあり様の変化の幅や時期などは、おそらく市場原理によるもの。予想は現時点で極めて困難だ。

さて、本誌が発行された時点ではすべての店舗において新紙幣への改刷対応が済んでいるかと思う。が、この改刷対応にかけたコストは店舗ごとにかなり違いがありそうだ。特に改刷対応と性能期待を合わせてスマート遊技機比率を高めた店舗もあるし、できるだけコストを抑えての対応という店舗もある。

スマート遊技機に性能期待をするというのは、基本的にはスマパチに限定される。スマスロに期待するのは遊技機メーカーの開発企画に期待するべきであって既にレギュレーションは(今後の緩和の有無に関わらず)及第点だからだ。もちろん業界巷間で言われているような性能規制緩和の検討・協議はずっと続いているので緩和の可能性はもちろんあるし、現在の業界と警察庁との関係性を考えればその可能性も低くはない。

だが、性能期待は性能規制緩和だとすれば、明らかにスマパチのレギュレーションに期待を寄せている、ということになる。というか、方向性はこうなるはずだ。

性能アドバンテージを強くアピールするe慶次、シリーズ最高傑作を謳うe北斗が登場するのは7月8月のこと。既にスマパチ島があって(たとえば昨年の慶次などの導入店)そこに導入するケース、スマパチ島を新設するケースとあるが、それらがどれくらいの割合であるか。そこに改刷対応とスマパチへの性能期待の考え方が示されるというもの。

また、5月の日工組の総会後の懇親会の壇上で榎本理事長がゲーム性の幅を拡げる話を警察庁としているということを発言しており、この点でも性能期待感が高まりつつある。榎本理事長の発言したものはまだ決まっているわけではないが、そう遠くない時期に決まる可能性が高いというものである。慶次と北斗がともに大成功した場合は、さらにますます性能期待感が高まることになる。

今年3月のLT機の躍進を考えれば、業界関係者の下馬評、特にホール関係者など「遊技機メーカー職域以外の業界関係者の下馬評」は半信半疑でちょうどいい。なぜ遊技機メーカー職域を除いたかと言えば、LT機の開発企画のペースが明らかに速かったからだ。台数が少ないのはホールの需要が導入前、少なかったから。遊技機メーカーは3月にはP機のLT機、7月以降はe機(スマパチ)のLT機に開発企画をかなり寄せているが、その性能期待を下馬評段階で持っていたホール関係者等はとても少ない。

つまり、7月以降のスマパチの躍進の可能性について、もちろん慶次や北斗が成功する保証はないのだが、少なくともメーカー職域以外の業界関係者の下馬評は私は無視するようにしている。

この雰囲気、スマパチへの性能期待が現状のLT機への需要と同じようになるようになってほしいしその可能性はあるぞという雰囲気のことだが、ぱちんこメーカー各社はかなり強く抱いている。だからニューギンとサミー「以外」のぱちんこメーカー関係者が慶次と北斗の結果についてとても関心を寄せており、成功を強く願っているわけだ。そういう状況に現時点でなっている、特にぱちんこメーカー各社は「7月からスマパチに対する景色が変わるかもしれない」とかなり強く想い願っているということをちゃんと把握しているホールがいかほどあるかはわからないが、そういうホールはスマート遊技機島の割合を7月に合わせて引き上げる設備投資に走ったわけだ。

スマスロは登場からずっと好調を続けている。スマスロ登場前夜の6.5号機も犬夜叉の初動及びカバネリの長期稼働により成功と言えた。が、6号機はそれまでジャグ系などのノーマルタイプの支持を除けば短命な機種ばかりであった。

ぱちんこは2020年頃に台あたりの粗利益額がパチスロを久しぶりに上回ったが、パチスロの急回復にあわせて凋落していった印象が強い。とはいえP機の性能規制に問題があったわけではない(鬼がかりや咆哮、ユニコーン、韋駄天が存在していたわけだ)。P機については今年さらに性能規制は緩和されているが、今のところP機は失速をずっと続けていると言ってもいいだろう。スマパチが完全にカテゴリとして確立する前にP機ごと失墜するのはかなりまずい状態であることから、7月以降の特にスマパチ攻勢に期待するというのは、業界を鳥瞰的に見ればその方が業界全体の利益になるということでもあるので私の感覚では当たり前のこととなる。

もちろん結果を決めるのは遊技客の支持の総量だ。慶次と北斗に私は同じくらいに強く期待をしているが、成功するかしないかは遊技客が決めること。ただ、日工組として性能期待を今後高めようとレギュレーション変更を狙っているのはP機ではなくスマパチなので、遊技機市場の将来展望を考えればスマパチが成功するのが最も速い市場回復シナリオと思えるが、それが慶次と北斗きっかけで回復したとなれば、さらに速い市場回復シナリオである。

結論を見る前に設備投資しないと大成功したときの恩恵を享受できないというのは業界レート。また、設備投資したのに失敗したときに大きな損失を出してしまうのも業界レート。本稿を読んでいるホール関係者は7月8月のスマパチ攻勢について既に自社なりの考えを固めて頑張って買ったり見送ったりしているはずなので、あとは遊技客の総意がどうなるかを日々のオペレーションに従事しながら待つだけとは思う。が、私は今もなお期待は強く抱いている。

この辺でスマパチをカテゴリとして確立しておきたいところだ。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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