ユニフライ、ベルギーで運航管理システム(UTM)のサイバー認証枠組みを開発

by ドローンジャーナル編集部

2024年6月26日、テラドローンは、同子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)(※1)プロバイダーのUnifly(以下、ユニフライ)が、同国においてUTMのためのサイバー認証の枠組みを開発し、その枠組みに準拠して自社UTMのソフトウェアとネットワークを強化したことを発表した。

これは、現在ユニフライが参画している、欧州諸国が共同で設立した宇宙開発のための機関である欧州宇宙機関(ESA)が資金提供する、サイバー認証のためのUTMの概念実証(PoC)(※2)に関するプロジェクトの一環で実施したもの。同プロジェクトは、セキュリティなど先進技術分野のコンサルティングを手がけるNexova GROUPと共同で進めている。

※1 運航管理システム(UTM):同じ空域を飛行する複数の無人航空機を安全で効率的に運航するためのプラットフォーム。
※2 概念実証(PoC):新しい手法などの開発に取り掛かる前に、実現可能性や効果を検証する工程。

プロジェクトのイメージ画像

プロジェクト概要

ドローンや空飛ぶクルマなどの目視外飛行(BVLOS)には、無人航空機システム(UAS)(※3)が不可欠である。一方、従来の航空機が飛行する空域への統合には、高度な自動化によるサイバーセキュリティリスクなどの課題がある。

このプロジェクトでは、EUの規制とサイバーセキュリティ基準に準拠するUTMのためのサイバー認証の枠組みを提案し、その枠組みに準拠したUTMシステムを設計、開発、展開することを目的としており、技術フェーズ(第1段階)と製品フェーズ(第2段階)の2段階で進めている。

第1段階の完了を間近に控え、ユニフライとNexova GROUPは中間結果として、関係者からのフィードバック、規制の分析やサイバー認証スキームの確立、ギャップ分析について公表した。

またユニフライは、第1段階で実施したベルギーの空域における概念実証(PoC)を通じて特定した緩和策をもとに、同プロジェクトにより設定された厳しいセキュリティ基準を満たすよう自社UTMを強化した。

現在同プロジェクトでは、攻撃シナリオを実行することで、セキュリティ対策を実施したUTMと実施していないUTMを比較する検証作業を進めており、その結果を検証報告書にまとめる予定だ。並行して、第2段階での製品化に向けた具体的なアウトラインを定義するための議論も始めている。

今回の中間発表の内容は、サイバー認証された安全なUTMの開発において重要な進展であり、プロジェクトの成果は今後さらに別の研究開発にも活用され、ベルギー国内でサイバー認証された安全なUTMの実装につながるとしている。

※3 無人航空機システム(Unmanned Aircraft System, UAS):パイロットが搭乗せずに飛行する航空機、およびその航空機を制御するシステム。

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