犬に「過去を思い出して苦しむことはあるの?」犬にある気持ち、ない気持ち

犬と暮らしていると、人の気持ちに置き換えて「こんなふうに思っているのかな?」と思うことってありますよね。犬にも人のようなつらい気持ちはあるのでしょうか? 『いぬのきもち』読者が気になった3つのケースについて、獣医師で獣医学博士の増田宏司先生が答えてくれました。

引用元:annaia/gettyimages

飼い主さんを亡くしたことを理解して悲しい気持ちになることはある?

●悲しそうに思っていそうな行動は実際にあります

飼い主さんを亡くしたことを理解しているかはわかりませんが、いつもそばにいてくれたのにいなくなってしまったことはわかるでしょう。仏壇の前から離れないというような話も。それが悲しんでの行動かは今のところ科学的根拠はないですが、「会いたいな」「寂しいな」などと悲しい気持ちになっているように思えてならないです。

体が不自由な犬は、ほかの犬との違いに切ない気持ちになることはある?

●ほかの犬と比較してマイナスの感情にはならないでしょう

ほかの犬との違いは理解できると思いますが、違いを比較して切なくなるなど、マイナスの感情になることはないと思います。思ったように動けないなどのストレスからつらい気持ちになることはあるかもしれません。

保護犬は、保護される前の壮絶な過去を思い出して苦しむ気持ちになることはある?

●苦しい気持ちになることは少なくてもトラウマはあるでしょう

犬は〝今〞を懸命に生きていて人ほど過去を引きずることはないといわれていますが、トラウマが残ることは事実です。ただ、トラウマが残ったとしても、現在が幸せな生活であれば、壮絶な過去を思い出すことは少ないのではないでしょうか。

撮影/犬丸美絵

いかがでしたか? どんな気持ちも、飼い主さんが愛犬に寄り添うことで、お互いに幸せでいられるはずです。参考にして、よりよい関係を築いてくださいね。

お話を伺った先生/獣医師。博士(獣医学)。東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2024年1月号『こんな気持ち犬にもある? ない?』
写真/犬丸美絵
文/いぬのきもち編集室

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