まるで液体!? 猫がどんな入れ物にもジャストフィットで収まる理由

鍋に入れば丸くなり、段ボールに入れば四角くなる猫。まるで液体のように、あらゆる入れ物にジャストフィットで収まるのには、どんな秘密があるのでしょうか。そこで今回は、猫が狭い場所にぴったり収まる理由について、哺乳動物学者の今泉忠明先生にお話を伺いました。

いろんなポーズができる体の柔軟性と伸縮性

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫の体がまるで液体のように入った場所にフィットする理由として、体の柔軟性と伸縮性の高さがあります。
入った容器によって猫の体が丸くなったり四角くなったりできるほど柔軟性が高いのは、骨格に特徴があるため。猫の体は人よりも多くの骨からなり、そのぶん関節も多く可動部が多いため、より柔軟な体勢になることができます。
また、骨の数の多さに加え、骨をつなぐ靭帯(じんたい)が柔らかで体がよく伸びるため、狭い場所で小さく丸くなったり、リラックスして体を長く伸ばしたりといった伸縮自在なポーズができるのです。

抜群のバランス感覚

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫が狭い場所の上でも絶妙な体勢でバランスを保っていられるのは、平衡感覚が優れているため。動物の耳の奥には、平衡感覚をつかさどる三半規管と前庭(ぜんてい)器官がありますが、猫はほかの動物に比べ、これらの器官が発達しています。

密着感を求める習性

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫が狭い場所にすっぽり入り込んで体を密着させたがるのは、穴ぐらをすみかとしていた野生時代の名残で、周りを囲まれた場所にピタッとはまると安心するためといわれています。そのほか、体を温めたいときや甘えたいときにも何かに体をくっ付ける習性があります。

「猫は容器に合わせて体形を変えられるので液体も同然?」という論旨で、2017年にイグノーベル賞を受賞して注目を浴びた「猫=液体説」。猫が液体のようにしなやかなのは、体のしくみや習性と関係があるのですね。

お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2020年8月号『やっぱり猫は、液体でした。』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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