車両後退中、死角に注意 県内で死亡事故相次ぐ

県内で車両後退時の死亡事故が立て続けに発生している。バックモニターにも死角はあり、注意が必要だ=山形市(画像を一部加工しています)

 車両後退中に人とぶつかり、亡くなる事例が県内で立て続けに起きている。先月は上山市で、1日には鶴岡市で発生した。近年はバックモニターや後方の障害物を知らせるセンサーといった車の安全装備が充実しているが、装備によって完全に運転者から死角がなくなるわけではない。県警などは「機械を過信せず、死角など目に見えない部分は降車し、目視で確認してほしい」と話している。

 先月17日に上山市で、男性運転手の観光バスが後方で誘導していたバスガイドの女性に気付かず後退し、女性がバスと電柱に挟まれて亡くなった。今月1日には鶴岡市で、福祉施設の女性職員が送迎車を後退させた際、利用者の高齢女性に気付かずはね、女性が死亡した。

 車両後退時の速度は通常低速だが、衝突によって人が転倒し頭部を強打する、車底部に巻き込まれる、電柱などの障害物に挟まれるなど、さまざまな要因で重大事故につながってしまう。

 県警交通企画課によると、2019年から23年までの過去5年で、車両後退時に人が亡くなったり大けがをしたりした事故は46件発生し、そのうち8割超の原因が安全不確認だった。今年4月、高畠町で車を後退中だった女性が息子をはねた事故では、子どもが自宅にいると思い込んでいたという。このように、事故には「人がいるはずがない」という勘違いが関係している場合があるとし、防止策として▽乗車前の後方確認▽同乗者を降車させての誘導―などを挙げる。

 JAF山形支部によると、バックカメラでも死角は存在するという。車種やカメラの取り付け位置などによってカメラの写り方は異なるため、ドライバーは障害物を置いてモニターを確認し、自車の死角を把握すべきだと指摘する。また、車を後退する際はブレーキペダルに足を置きつつ、「クリープ現象」を活用することで、危機回避しやすくなるとしている。

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