韓国LGES、ルノーからLFP電池を大量受注(EV59万台分)…中国独占市場に風穴か

韓国の有力バッテリー企業であるLGエナジーソリューション(LGES)が、中国が独占しているリン酸鉄リチウム(LFP)電池市場において、韓国企業としては初めて大規模受注に成功したことが分かった。

LGESは1日(現地時間)、ルノーの仏本社において、ルノーの電気自動車部門「アンペア」(Ampere)との間で、電気自動車用パウチ型LFPバッテリー供給契約を締結したと明らかにした。

現場にはソ・ウォンジュンLGES自動車電池事業部長のソ・ウォンジュン副社長、チェ・スンドン自動車開発センター長のチェ・スンドン副社長、フランスア・プロヴォ・ルノーCPO副社長、ジル・ル・ボルネCTO副社長などが出席した。

供給期間は2025年末から5年間だ。約39ギガワット時(GWh)規模のLFPバッテリーを供給する。これは電気自動車約59万台を生産できる量だ。

LGESのパウチ型LFPバッテリー(画像:同社提供)

LFPバッテリーセルは、LGESのポーランド・ヴロツワフ工場で生産され、ルノーの次世代電気自動車モデルに搭載される予定だ。

フランスア・プロヴォ・ルノーCPO副社長は、「LGエナジーソリューションと協力して欧州市場統合供給網を構築している」とし、「両社の長年のパートナーシップを通じて、技術と競争力の面で特別なソリューションを作っていくことができるだろう」と明らかにした。

LGESは、「LFPバッテリーの受注は、ヨーロッパで中国企業の主力製品群を突破したことは意味深い」と説明した。電気自動車用LFP市場を中国のバッテリー企業が低価格で市場を占めているからだ。

LGESが生産するLFPバッテリーはパウチ型で、セルトゥーパック(Cell To Pack, CTP) 工程が適用される。CTPはモジュール工程を経ずにバッテリーセルとパックを直接組み立てる工程技術だ。重量を減らし、空間効率を高め、同じ空間内により多くのセルを搭載することができる。LGENSOLのポーチCTP技術は、角型CTPに比べて重量当たりのエネルギー密度を約5%高めることができる。

また、検証された熱転移防止技術を通じて安全性も強化し、工程の簡素化で価格競争力を高める方針だ。

キム・ドンミョンLGES社長は、「ヨーロッパの最も古い顧客であるルノーとの今回の契約で、会社だけの独歩的な製品競争力と差別化された顧客価値を再び認識された」とし、「激しい激戦地であるヨーロッパ攻略を筆頭に、グローバルLFPバッテリー受注を本格化し、検証された現地供給能力、独歩的な製品ポートフォリオを通じて最高レベルの顧客価値を持続的に提供していきたい」と述べた。

※アイキャッチ画像:ルノー本社で供給契約の締結に出席た両社の副社長たち(LGES提供)

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