金なくば政治は立たず…政治資金パーティー再開の動き 広い選挙区回るため「背に腹は代えられぬ」 見送る議員も「今後は検討」 県関係国会議員

 国会閉幕後、鹿児島県関係の自民党衆院議員が政治資金パーティーを再開させる動きが出ている。党派閥の裏金事件以降、パーティーに注がれる視線は厳しさを増し自粛が続いたが、秋の党総裁選後の衆院解散・総選挙がささやかれ、資金確保を急ぎたい思惑も透ける。国民感情と台所事情をにらみながら、判断に悩む姿も見られる。

 比例九州の小里泰弘氏は3日夜、都内のホテルで政経セミナーを開く。数百人収容可能な会場だが集まる人数は「未定」。国会で政治資金規正法改正に向けた議論が進んでいたため例年5月の開催を延期し、規模も縮小。外部講師を招き、会費2万円。

 小里氏は「できるだけ派手にならないよう来賓も呼ばない」とし、「派閥と個人のパーティーが混同されている。丁寧に説明したい」と強調する。益金は地元秘書らの人件費や事務所の維持費に充当。「政治活動は原資がなければ続けられない。制度を順守してやっていく」と語る。

 一方、比例九州の保岡宏武氏は17日昼に都内の憲政記念館でセミナーを開く。2月の予定を延期し、規正法改正の議論に道筋がついたことを受け企画し直した。解散した谷垣グループ(有隣会)代表世話人だった中谷元衆院議員を講師とし、弁当を出す。会費2万円。

 奄美を含む鹿児島2区で活動する保岡氏は「歳費の大半を事務所運営に投じている」と明かす。「開催に批判もあるだろうが2区をより良くするため背に腹は代えられない。日頃の活動に加え広い選挙区を回るためにも必要」と訴えた。

 鹿児島1区の宮路拓馬氏は「現時点では具体的な予定はない」。8月の開催を模索したものの、「総裁選や総選挙に集中した方がいい」と見送った。「政治資金の確保にはパーティーも必要な手段。選挙後に開催を検討したい」と話した。

〈関連=資料写真〉2023年5月、自民党森山派の政治資金パーティーで談笑する森山裕選対委員長と岸田文雄首相=10日、東京都内のホテル

© 株式会社南日本新聞社