ブラジル中銀総裁が通貨急落にいら立ち、「現実と大きなかい離」

Marcela Ayres

[2日 ロイター] - ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は2日、通貨急落などが新興国の中で際立ったことに関し、直近の景気データの改善からは「大きなかい離があり、現実と一致していない」と述べ、インフレ鈍化に否定的な市場にいら立ちを示した。欧州中央銀行(ECB)がポルトガルで開いたフォーラムで述べた。

同総裁は、新興国通貨の値崩れが最近起きており、ブラジルが被った打撃はその中で目立ったと指摘。要因について「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)よりも、作り出された数々のノイズに大いに関係があると思う」と述べ、財政と金融の両政策の先行き懸念を要因として挙げた。

ブラジルでは最近、金利先物が急騰(金利先高観の急拡大)した。また、通貨レアルは対ドルで落ち込み、年初来で16%安下落して2022年1月以来の低水準に落ち込んだ。同中銀は6月、政策の先行き不透明感に加え、労働市場の堅調に伴ったサービス価格のインフレへの警戒、食料品価格の上昇圧力を背景に利下げサイクルを一時停止していた。

同総裁は極右のボルソナロ前大統領が任命し、任期は今年12月まで。現職の左派ルラ大統領から最近、批判を受けている。フォーラムでこの点を問われた際には、中央銀行家として政治に深入りするべきではないと答えるにとどめた。

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