県内、「短時間強雨」10年間の発生回数倍増 豪雨災害の頻発裏付け

2022年の記録的大雨で、JR米坂線の鉄橋が崩落した現場=同年8月、飯豊町

 本県で1時間30ミリ以上の「短時間強雨」が昨年までの10年間で発生した平均年間回数が、地域気象観測システム(アメダス)による統計を始めた1979(昭和54)年からの10年間に比べ、2倍以上に増えたことが山形地方気象台の調べで分かった。22年の置賜地域中心の記録的大雨など近年は豪雨災害が頻発しており、これを裏付ける。関係者は命と安全を守るため防災情報の積極的活用を求めている。

 同気象台によると、県内の2014~23年の短時間強雨は、アメダス1観測地点当たりの平均値で年間0.735回だった。1979~88年は年間0.327回。発生頻度は2.25倍となった。

 79年以降で最も多かったのは2018年の1.96回で、13年が1.18回、22年が1.11回と続く。同気象台の藤原昭三気象情報官は「地球温暖化に伴い、大気中に含まれる水蒸気量が増え、ひとたび降ると激しい雨になる」と指摘する。

 22年8月は、置賜地域を中心に線状降水帯が発生するなど激しく降り続き、大雨特別警報が出された。長井市で1時間降水量72.5ミリを記録し、飯豊町でJR米坂線の鉄橋が崩落するなど、甚大な被害が出た。

 藤原気象情報官はこれまでの統計と温暖化の傾向を踏まえ、「短時間強雨は今後もさらに増えるだろう」と予測している。

 梅雨時期の警戒について藤原気象情報官は「梅雨前線に台風が絡むと大雨のリスクは高まる。特に梅雨末期は注意が必要」と説明。地図上でリアルタイムに危険度を確認できる気象庁のサイト「キキクル」の活用を呼びかけている。県は、市町村に避難所開設をためらわないよう通知し、県民には県公式のフェイスブックやX(旧ツイッター)で降雨状況を示し、避難ルートの確認を促している。

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