「条例で無料なのに」中学校施設の予約 ネットに一本化 システム仕様上、減免できず 長崎市

長崎市の中学校体育施設の予約方法

 長崎市立の中学校施設で夜間に活動するスポーツ少年団が、市から施設使用料などの減免廃止を通告され、今後の活動が難しくなると困惑している。予約方法の違いから無料になっていないスポーツ少年団もあり、市は公平性を理由にインターネット予約への一本化を決めた。条例では「減免」のはずが「システムの仕様上、できなくなる」と説明している。

 「5月初旬、当面先だと思っていた有料化を唐突に告げられました」。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」にスポーツ少年団の関係者が声を寄せた。昨年から有料化に向けたアンケートは何度かあったというが「説明会はない。時期も『なるべく早く』と言われるだけ。受益者負担の原則は理解するけれど、年間の支出見込みが22万円となると、活動が維持できなくなるかもしれない」。
 学校施設の使用料は市の条例で定められている。青少年のスポーツ団体は「公共的団体」に該当するため、相談者の団体は無料となっている。
 市の公共施設使用申し込みは、1996年から段階的にインターネット上のシステムを導入。代表者らが個人名で申請し、使用料は自動的に口座振替で支払われる。
 導入後に活動を始めたスポーツ少年団は、公共的団体でも使用料を払っている。市は「個人単位で登録する同システムでは減免対象かどうか把握できず、今のところ減免処理できない」と説明する。
 一方、導入時点で活動していた約40のスポーツ少年団は現在、特例的に市スポーツ振興課に申請書を提出すれば無料となっている。また、固定した曜日を優先して予約もできる。
 同課には「有料と無料があるのは不公平」「一部の団体が優先され施設が自由に使用できない」「全ての団体がシステムで予約すべき」といった苦情や要望が寄せられていた。
 こうした声を受け、市はシステム予約に一本化する方針を決めた。各団体と個別に話し合い「一番いいやり方を考えながら、遅くとも来年3月末までの移行を目指す」としている。
 地方財政学が専門の県立大地域創造学部の綱辰幸教授(59)は「減免を受ける団体とそうでない団体があるのは問題。地域の法である条例が優先されるべき。システム改修など工夫がいる。市民に説明できるよう基準やルールの明確化が必要」と指摘した。
 他市町ではどうか。佐世保市は使用料が無料、電気、水道料の実費は免除で実質負担なし。西彼長与町は午後7時までなら、施設使用料が体育館は5割、運動場は3割の負担。照明料などは減免がない。
 無償で武道を教える別の団体の指導者は「有料になれば解散するしかない」。相談者の団体の指導者も「少人数の団体ではとても賄えない。活動が縮小すれば、市全体の競技力が低下する。せめて照明設備の利用料程度で収まれば」と訴えている。

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