日立「製造業を元気に」新施設公開 省人化・自動化技術を集結 顧客と共創する“新たな価値”創出の場に

日立製作所は、最新の省人化・自動化技術を展示する新施設を公開した。
技術や設備を顧客に実際に見てもらうことで、製品の購入につなげたい考えだ。
専門家は、自動化技術の需要が高まる中で、顧客との共創による新たな価値創出の場であると評価している。

日立が最新自動化技術の展示施設を公開

日立製作所が、最新の自動化技術などを取りそろえた新施設をお披露目した。

日立がメディアに公開した新たな施設「Automation Square HANEDA(オートメーションスクエア 羽田)」は、製造現場で使用されるロボットアームや、製造ラインの設備など、日立が提供するさまざまな省人化・自動化技術が集められている。

人手不足が深刻化する中、製造物流現場などでは、省人化・自動化技術の需要が高まっていて、日立はこの施設で展示されている技術を実際に顧客に見てもらい、製品の購入に結びつけたい考えだ。

日立・森田和信 執行役常務:
実際に見ていただいて、大きさはこういう大きさなんだ、こんなスピードで動くんだ、そういったところをお伝えできる。

日立は、「国内外の先進的な技術の導入を促進し、日本の成長の源泉である製造業を元気にしていきたい」としている。

事業転換・海外売上比率の高さが成功要因

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーー今回の試み、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
ものづくりや物流の現場では、労働力不足や生産性の向上のため、自動化のニーズが高まっています。

さらに、CO2の排出を減らすために、省エネルギー化も進める必要があります。こうした課題に対して、今回の取り組みは、「日立なら、こんなこともできますよ」という提案の場であるように思います。

堤キャスター: ーー顧客と一緒に、課題の解決を進めていくわけですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
長い低迷が続く日本のエレクトロニクス産業で、日立はソニーと並んで、好調な業績を誇っていますが、共通する2つのことがあります。

1つは、この10数年で大きく事業構造を転換させたことです。ソニーはエレクトロニクス中心のビジネスから、エンタテインメント企業に転身しました。

日立も総合電機からの転換を図り、ものづくり、エネルギー、モビリティーに特化して、利益を上げています。

堤キャスター:
ーーもう1つの共通点については、いかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
それは海外売上比率の高さです。IT産業は大きな市場で数を売らないと、もうけにくいビジネスといえます。

多くの日本企業が業績の不振により、海外ビジネスの縮小や撤退が相次いだ中で、日立とソニーは、海外事業をしっかり行っています。

日立のエネルギーや、モビリティー分野の海外売り上げは8割以上、そのほかのものづくりの分野でも半分を海外で稼いでいます。

オープンイノベーションで顧客と共創

堤キャスター: ーー時代に合わせて大きく転換していくというのは、大切ですよね?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
最近の日立の特徴として、オープンイノベーションの有効活用があります。

今回の施設でも、ITと日本の得意なものづくりを掛け合わせたビジネスを紹介し、顧客と新たな価値を生み出そうとしています。

日立だけでは思いつかないようなアイデアを顧客の企業と形にすることで、非連続なイノベーションが生まれることを期待したいです。

堤キャスター:
人手不足などを受けて、自動化のニーズは高まっています。
製造現場の生産性向上は、私たち消費者にもメリットがあることですから、課題の解決につながることを期待したいです。
(「Live News α」7月2日放送分より)

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