20年ぶり発行の新紙幣求め、早朝から金融機関に長い列 日銀支店は435億円引き渡し

新紙幣への両替を求めて、窓口に並ぶ人たち=3日午前、神戸市中央区、神戸信用金庫本店営業部(撮影・大田将之)

 20年ぶりに新紙幣の流通が始まった3日、兵庫県内の一部金融機関では、早く手にしたい人たちが長い列をつくった。日銀神戸支店は円滑な供給に向け、営業開始を1時間前倒し。姫路市の貨幣処理機メーカーは、新札に対応する機器が正常に作動するか確認するため、多額の現金を本社に運び込んだ。

 神戸信用金庫(神戸市中央区)の本店営業部では、営業を開始する午前9時に新紙幣を求める大勢の利用者が並び、配布した整理券は2時間ほどで200枚を超えた。職員が「準備した新紙幣が途中でなくなるかも」などとアナウンスする場面もあった。

 1時間並んだ大阪市の女性ピアニスト(45)は「モダンなデザイン。新しいお札で買い物に行きたい」。神戸市須磨区の男性会社員(49)は「早く子どもに見せたい」と喜ぶ一方、「キャッシュレスの時代。すぐに使うことはなさそう」と冷静な受け止めも見せた。

 神戸信金と同じく、同日から新紙幣への両替を受け付けた播州信用金庫(姫路市)、尼崎信用金庫(尼崎市)の来店数は平常通りだった。三井住友銀行やみなと銀行(神戸市中央区)の一部店舗は4日から、新紙幣の両替に応じる。

      ◇

 日銀神戸支店では、普段より1時間早い午前8時の開店直後から、県内金融機関の担当者が新紙幣を引き取りに訪れた。1万枚単位で包装された束は40個ずつパレットに積まれ、1万円札はひと山40億円。午後3時の閉店までに、普段の数倍に当たる435億円が支払われた。今後も新紙幣に加えて、一定のニーズがある旧紙幣も当分発行を続ける。

      ◇

 貨幣処理機大手のグローリー(姫路市)は、朝から警備会社の現金輸送車で新紙幣を本社に運び込んだ。新しいATMや両替機など約100機種が大量の新紙幣を正常に処理できるか、4日から試験する。新紙幣流通に伴う金融機関や店舗など納品先からの問い合わせはないという。(大盛周平、石川 翠、高見雄樹)

© 株式会社神戸新聞社