復興の象徴「ふれあい公園」開園 真備、交流拠点や避難場所に

真備町地区に開園した「まびふれあい公園」。住民の交流拠点や災害時の一時避難場所として活用される=3日、倉敷市真備町箭田

 2018年7月に発生した西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた倉敷市真備町地区で3日、市が復興のシンボルとして整備していた「まびふれあい公園」(同町箭田)の開園式が開かれた。住民の交流拠点や災害時の一時避難場所として活用。市が同地区で5カ年にわたって進めてきたハード対策はこれをもって終わりとなり、行政関係者や地元住民が復興の節目を祝った。

 公園は建築家の隈研吾氏が設計し、豪雨で決壊した小田川の堤防沿い約4.5ヘクタールに整備。このうち河川敷を除く約2.8ヘクタールは、安全性を高めるため堤防と同じ高さ6メートルまでかさ上げしている。中央には多目的室や備蓄倉庫を備える複合施設「竹のゲート」(木造、鉄筋コンクリート混合平屋約480平方メートル)を配置し、周囲に芝生広場や遊具を設けている。

 平時は住民の憩いの場やイベント会場として使い、防災教育や研修も実施。災害時は広場や駐車場を開放して車約400台を収容する一時避難場所とし、座面を外すと炊き出しができるかまどベンチやマンホールトイレも設けている。総事業費は約13億円。

 式典には約220人が出席し、伊東香織市長が「真備の魅力発信や触れ合いに役立てるとともに、災害の教訓を発信する場にしたい」とあいさつ。近くの幼稚園児と一緒にテープカットし、開園を喜んだ。

 市は19年3月に策定した真備地区復興計画に基づき、国や岡山県と連携してハード対策を推進。小田川と高梁川の合流点付け替え工事をはじめ、公共施設や道路の復旧・再整備を今年3月末までにおおむね完了。公園は地元特産の竹を取り入れた複合施設の資材調達や施工に時間を要し、計画より3カ月遅い6月末に完成した。

「竹のゲート」前でテープカットし開園を祝う関係者

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